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子どもの愛着と駄菓子屋の可能性

みなさんは子どもの頃の駄菓子屋さんの思い出はありますか?

僕はと言うと、思い出というほどたいそれたものではないかもしれませんが、駄菓子が昔から大好きだったので、地元の駄菓子屋に友達としょっちゅう行っていました。

お店のおばちゃんとは特別仲良しだったほどではないけど、街中であっても挨拶するくらい顔見知りになっていたと思いますし、今でも顔を思い出せます。

多くの人にとって記憶の片隅にある駄菓子屋。
そこには子どもの愛着形成という問題の解決に関して非常に可能性があると思います。

そこで本日は駄菓子屋と愛着形成について考えていることの記事を書いていきます。戯言のような話かもしれませんが、興味のある方はご一読ください。


愛着形成とは?


これまでにもこのnoteのマガジンで何度か子どもの愛着形成の重要性について記事に書いてきました。

愛着形成というのは一言で言えば、心理的な安全基地を作ること。安全基地があるからこそ、子どもは好奇心に基づいて外の世界に一歩踏み出し、社会と関わっていくことができるようになります。

本来的には親子間で形成されていくはずの愛着。しかし何らかの理由で親に余裕がないと言った状況に陥ると、親子間での愛着形成が阻まれていきます。

そこで大切になるのが

・親の支援(心の余裕を作ること)
・直接的な第三者の子どもとの関わり

ではないかと思うのです。

そこで僕は「駄菓子屋×暮らしの保健室」という取り組みを今後地域で行っていきたいなと考えているわけです。


なぜ子ども食堂じゃなくて駄菓子屋なのか?


他の記事でも書いたように、愛着形成は決して親子間だけでなく、祖父母であったり、保育士さんや近所の大人などとも形成していくことができます。子どもと直接的に関わる大人であれば、子どもの愛着形成に影響しているということです。

では親子間での愛着形勢が難しい逆境的な状況に置かれている子どもの愛着形勢を育むために、子どもと直接関わるにはどうしたらよいのか?これが僕の中で悩んでいたことです。

地域でワークショップや運動教室を開催しても、そこに集まるのは「子育てに熱心な親御さんとそのお子さん」です。子育てに熱心な親=愛着形成がなされるというわけではないのですが、本来問題となっているような逆境的環境から孤立した子どもとは、このような形ではリーチできないことに気づかされました。

全ての子供と関われる職業として、学校の先生や保育士さんなども挙げられますが、僕はその免許もありません。(学校の先生や保育士さんって本当に可能性に溢れた素晴らしい仕事だなと気づかされます)

では僕のような人間が地域で逆境的な環境に置かれている子どもと関わるにはどうしたら良いか・・・

まずひらめいたのは「子ども食堂」でした。
子ども食堂は現在全国的に開催されている、本当に素敵な取り組みですよね。


こども食堂ネットワーク(http://kodomoshokudou-network.com


この子ども食堂が提供しているのは「ご飯が食べられる」という条件をフックとした、安心感やコミュニティなのではないかと考えています。単純に「タダで(安く)ご飯が食べられる」というだけではなく、その空間にいること自体に素晴らしく価値があるのです。

僕は「コミュニティ」というものに、人間の人間たる所以とも言える価値があると考えています。
人との繋がりや、所属する小さなコミュニティがあるということは、その子の自己肯定感を育み一人の人間としての心の発達にとても大きな影響があるものです。

そこで僕は一度「子ども食堂やりたい!」と考えました。しかし一つだけ引っかかることがあったのです。
子ども食堂は本当に素敵な取り組みですが、集団の輪に飛び込むことがすでに少しハードルが高いのではないかと。。

それよりも、もっと来たい時にふらっと来ることができるような場所。集団の中に入りこまなくとも、自分のペースで居られる場所も必要なのではないかということ。

子ども食堂は素晴らしいけれど、もっとハードルが低い場所があっても良いのではないかと。
そこで思い浮かんだのが駄菓子屋だったのです。


駄菓子屋の魅力とは?


ヒトはヒトとの関わりの中で、社会との関わりの中で存在が生じ成長していきます。

家族、大好きな先生、信頼できるヒト、近所のおばちゃん。
この社会には様々な距離感のヒトがいます。

その中で、駄菓子屋のおっちゃん・おばちゃんっていうのは、距離感として非常に絶妙だと感じるのです。

その場所に行けば、必ずいつもそこにいる。
僕の名前も知らなければ、どこに住んでいるのかも知らない相手。
だけど顔はわかり、いつもそこにいるという日常がある。

そんな程よい距離感こそが安心につながる。
そんな風に考え、いろいろと調べているとこんな面白い論文を見つけました。

駄菓子屋の教育的機能-子どもと店員の関わりを通して-

大学の卒業論文ですし、統計的な側面からというよりも実際の報告や現場の声が記載されたもので価値のある面白い論文だなと感じます。

この論文を読むと、僕がぼんやりと想像していた「可能性」は、やはり価値があるのだろうという確信を持てます。子どもが社会の中で、第三者としての大人との「愛着」を形成できる可能性を。

この論文によれば、駄菓子屋に期待できる機能として

・子どもの願望を受容できる機能
・ 子どもが自己の存在を確認し、安心できる機能
・駄菓子屋に行けば仲間がいるという安心感を子どもに与える機能
・ 子どものことを日頃から観察している理解者がいるという機能

とまとめられています。

駄菓子屋は「駄菓子を売る場所」ではないのです。
そこは子どもと大人の関わりのある場所であり、自分の存在を認めてもらえる場所なのです。

名前も住所も知らない他者との「程よい距離感」が保たれることは意外と大切なことなのではないでしょうか。その距離感があるからこそ、マイペースに過ごすことも、店主と言葉を交わす選択肢も持てる。会話がなくとも、そこには確実に相手の存在を感じられる関係性が生まれているのです。

これは「場」がもたらしてくれる機能であり、「コミュニティ」にはその機能を担うことはできないのです。誰もが自由に足を運べて、排除されることなく承認してもらえる機能。

そんなリアルな「場」こそが駄菓子屋の価値であり、僕が駄菓子屋にこだわる理由でもあるのです。


暮らしの保健室とは?

この駄菓子屋に掛け合わせて行いたい取り組みに「暮らしの保健室」があります。
駄菓子屋が「小学生との直接的な関わりの場」であるとすれば、暮らしの保健室は「幼児や小学校低学年くらいの子を持つ親との関わりの場」として機能させたいです。

そもそも暮らしの保健室とは一体何のことなのか?知らない方のために簡単に説明すると、

気軽に身体のことや病気のことを相談できるような、学校の保健室のような場所のこと。学校には保健室があり、会社には産業医がいる。だけど街中には・・?
「もっと気軽に医療従事者に関われれば・・・」
「病院に行くほどじゃない気がするけど、知り合いに医療従事者もいないし聞けない・・・」
そんな悩みを解決するために、現在少しずつ全国に広がってきている取り組みのことを言います。

・株式会社ケアーズ/暮らしの保健室(ここの秋山さんという看護師さんが発起人)
・プラスケアプロジェクト/暮らしの保健室

これらは医師や看護師、薬剤師、栄養士などが関わりながら、医療や介護に関する相談を気軽に、無料で、予約なしで行えるというのが共通すること。

先ほど紹介したように「もっと身近に相談できる人がいればいいのに・・」という潜在的なニーズに応えるような取り組みですね。

僕はこの暮らしの保健室の「子育て版」をやりたいなと考えています。

いつもお世話になっている発達コンサルタントのこじさん。
そのこじさんがLINEで行っている無料相談にも、多くの相談が寄せられているとのこと。

世間のママさんは、初めての子育てだったり、2人目以降であっても上の子の時と様子が異なったりすると不安を感じてしまう人が多いもの。そしてネットに溢れる情報を自己解釈してしまい、よりいっそう不安が強まってしまう人も少なくないのではないでしょうか。

そんな時にもっと身近に、気軽に相談できる人がいれば不安も和らぐのではないか・・
僕はこじさんほどの専門性はありませんが、理学療法士として専門的な勉強をしてきたり(コジさんからも沢山の学びを頂きました)、また対人関係での関わりの重要性をひしひしと感じています。

僕らが子育て版暮らしの保健室を地域で開くことで、ママさんの不安を減らし、心の余裕が生まれて、子どもと向き合う余裕がさらに生まれれば、それもまた愛着形成に大きな影響を与えるのではないかなと個人的に思っています。

身体の発達の知識だけでなく、育児に関する制度やサービスについて、地域資源との連携、また子育て世代の人にとっては親の介護などの相談や、自身の身体の不調などの心配もあるかもしれない。

子育て中のママさんの精神的・肉体的な不安を減らすことに少しでも寄与すること。
それを身近な場所で、偶然的な出会いを入り口に関わることができたらいいなという想いがあります。

駄菓子屋にしても、暮らしの保健室にしても、利益には全くならない。お金の面では完全に赤字覚悟の取り組みになると思います。

それでも、社会課題を考えた際に「僕にできることは何か?」と問うと、このような取り組みをしたいと心から思えたのです。

準備すること、勉強すること、山ほどありますが、応援していただけたら嬉しいです。

よしっ、動くぞーー!!!

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