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恐怖! 感染性美少女!

 美少女に噛まれると美少女になる、そんな現象が蔓延っている。

 ただの美少女ではない。肩までの黒髪、肌は白く、唇は艶やかな赤。伏せ目がちの黒い宝石のような瞳、そういうタイプの美少女だ。大抵は白いワンピースを着ている。そして、全員が瓜二つの顔。

 この辺りでは、角の酒屋の三橋さんがまずやられた。町外れに配達に出かけた時に、突然飛び出してきた美少女に噛まれたらしい。彼は三日寝込んで、目覚めた時はすっかり美少女になっていた。次にその家族がやられた。気のいいおばさん、やんちゃな坊やも美少女にされた。悪夢の始まりだった。

「そういうわけで逃げてきたんだ」
「……いや、別に良くない? まだその酒屋やってるんでしょ?」

 そう、美少女化しても中身まで変わるわけではない。現在三橋酒店では白ワンピにエプロン姿の美少女が威勢良く接客をしてくれる。正直かわいい。……かわいいのだろうか。まあ、かわいい。

【続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

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