ノンフィクション作家の佐々涼子さんが亡くなられた
ノンフィクション作家の佐々涼子さんが亡くなられた。
彼女の作品がとても好きだったので本当に悲しい。
次の作品が出るのを今か今かと待っていたけれど、もう刊行されることはないのだ。
悪性脳腫瘍で自宅で息を引き取られたという。
すこし前に彼女のインタビュー記事を読んだばかりだったけれど、2022年から闘病していたそうだ。
ノンフィクションを書くのはとても体力がいると話されていた。事実を正しい事実であると伝えるために一方向からの話ではなく多方向から検討され、わかりやすく、誤解のないように執筆するようにしているため時間がかかるとのことだった。
人柄を感じられる作風だった。どれも血の通った作品ばかりで、臨場感に溢れていた。
本を読んで、こんな職業があるのかと感心しながら、大変さや辛さを感じ取ることが出来た。
次はなにを紹介してくれるのだろう?
そんな期待をもって待っていたけれど、もう佐々涼子さんがペンを取ることはない。
年齢がさほど遠くないからこそ、無念だったろうなと思う。
まだ書きたいことだって山ほどあったのではないだろうか。
自分自身、50歳を過ぎてどんどん老いて、自由のきかなくなる錆びゆく身体を感じている。
今この世を去っても悔いはない、と言い切れる生き方をしていない。
大したものを残してすらいないというのに、まだもう少し長生きしようと健康にしがみついて、私はこうして生きている。
素晴らしい作家がこの世を去った。
とても寂しい。
どうか穏やかな眠りについておられますように。