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「ローマ帝国の三島由紀夫」@シアター風姿花伝 2021.12.29ソワレ

いや~~~っ!、意外にも(すみません)面白かった!
(戯曲自体、今日が御初だったので、もっとピンター作品みたいに私にはワカラナイかな?と思ってたので 笑)

じゃあ、どんな面白さかって言うと、私の知ってる数少ない中から例に挙げてみると、「地点」さんの芝居の音のリズムとか重なり合いとかゆらぎみたいな感じが楽しい!と思える人は、この作品、好きかも?って感じです。
で、「地点」さんの芝居からストーリー性を抜いて、もっと感覚的でオムニバスな方向にシフトしてるのがこの作品のゾーンなのかな?と思うので、話の流れとか「分かる・分からない」に捕らわれちゃうと話を追うのが疲れちゃうかも?
ここはひとつ、ショートストーリーをちょこちょこ見続けるみたいな感じで、多少、(あれはなに?)と思っても脳内スルーするのがいいかも?です(笑)

で、「地点」さんの作品もそうですけれど、こういう面白さって演じ手の皆様の表現力自体で全く変わってしまうと思うんですが、今回6人の面々、皆様そういう意味でツワモノで、個人的には特にSPACの貴島さんと館野さんの老夫婦に釘付け!です。もう、御二人とも実はローマ時代から生きてる妖怪なんですと言われても(だよね~)と思わず納得してしまいそうなほどの怪演で(大絶賛です)、人の声って凄いなぁ~~~と改めて楽しませて頂きました♪


以下は、ちょっと、未見の方は御注意下さい。



ストーリーらしきストーリーがあるのか?と言われたら微妙なんですが。
個人的に感じたのは、地底=(仏教的な思想の)地獄を暗示していて、色々な時代の罪深き人々の人生がローマ帝国時代の地底で交差していく(輪廻)という話が、一本、流れているのかな?と感じました。
そこに絡んでくる「サロメ」も、サロメ自体の話というよりは「愛欲に溺れた人間が破滅していく話」の象徴として、時代が変わっても何度も繰り返されていく人間の業というか、そういうものなのかな???と。
そこに「斬首された首」とか「亡霊」とか「バルコニー」とかのキーワードが、何度となく重ねられていくショートストーリーの接点として使われている感じでしょうか? ここいら辺は何度か観ると(あ~~~!)って気付くことが増えるのかも?しれません。

あと、ラスカル世代としては「ラスカル」の名前だけで条件反射的に可愛いと思えてしまうラスカルマジックにかかるので、可愛い(笑)
この辺りはちょっとヨシモト的な面白さもあるので、広く楽しんでいただけるかと。でも、ラスカルはずるいw

途中、紙飛行機がグラスに見立てられたり、ちょこちょこ(お~)と思う部分があるけど、じゃあ、あの紙飛行機は何?と思うと、よくわからない(笑)し、そういう「わからない」は沢山あったような?気がするけど、気にしないw 気にせず、楽しめます。

上演時間は、休憩10分を含めた2幕で、計3時間。
ちょっとだけ長いかなぁ?
オスプレイのくだりとかアメリカ軍によるテロリスト攻撃とかの話なのかな?とも思うけれど、その辺りは要るのかな?と個人的には思うけど、何せ、戯曲自体が手元にないので(新潮、在庫切れ)何とも。

あと、「川」も何か重要な要素のような?気がするけど(時代の流れとか?)その意味するところが今日の時点ではちょっと掴みきれませんでした。(これは私個人の問題かも?w)

今回のリーディング公演は上演を前提とした実験とのことですが、このリーディングという形式が合っている作品のようにも思います。リーディングと言いつつも皆さんあまり「本、見てませんよね?」と驚かされ(笑)、動きを伴った椅子の見立てなどの演出もあり、リーディング以上の?面白さも楽しませて頂きました♪

とりあえず、ファーストインプレッションとして。