【エッセイ】『推し』という概念を決めた

あなたには、『推し』なる存在がいるだろうか。

私はここ数年、『推し』という概念に違和感を覚えていた。
それは私の中で、”何が『推し』”で”何が『推し』でない”か、境界線がはっきりしていなかったからである。

最近、『推し』を自分なりに解釈できたので、覚書として書いておこうと思う。

あくまで自分なりの解釈なので、「あたりめーだろーがべらんめぇ」とか「いや頓珍漢なこと言っとるでぃ」となる可能性はある。

それと、今回は基本的に「三次元、二次元に存在する人または亜人、獣等」に限定した話だ。

結論

結論から言うと、

『推し』とは自分の①可処分所得と②可処分時間のおおよそ1/3以上を捧ぐ相手

だと思う。

まず、可処分所得とは読んで字のごとく「好きに使っていいお金」である。
例えば、1か月のうち、家賃や生活費や税金をもろもろ引いて、残ったのが10万円だとしする。この場合、その対象におおよそ3万円使っていたら、第一の条件を満たす、ということになる。

つまり、「身銭を切る」ということが、『推し』という概念には不可欠なものと考えている。

可処分時間とは何かというと、まあ読んで字のごとく「やらなければいけないこと以外の時間」「好きに使っていい時間」である。
例えば、1日のうちに3時間は可処分時間があるとしたら、1時間はその対象のことを考えていたり、イベントやライブに行く、としたら第二の条件を満たすというわけである。

可処分時間については、厳密な計算は難しい。
可処分時間外でも単純作業中にその対象について考えることは可能だし、平日はあまり考えていないけど、休日はめちゃくちゃライブに行く、ということもあると思う。

まあその辺は適当である。
なぜ可処分所得と可処分時間を1/3にしたのかというと、金額で考えたときに、「1/3くらいがしっくり来るな」と思っただけである。時間のほうも金額に合わせただけである。
独断と偏見である。

また、なぜ可処分時間も必要なのか、という問題に関しては、

世の中に一定数存在する、資本主義を攻略した者(通称:富豪)はそこまでその対象のことが好きではなくても寄付をしたりスーパーチャットを投げたりするからだ。

だから、この条件に当てはまらない場合は、私の中では『推し』ではないのである。
もちろんこれは、私が誰かを応援していて、『推し』なのかどうか悩んだときに使う指標だ。
人それぞれ『推し』の定義は違うので、その人が『推し』と言うなら『推し』は『推し』だ。

そういえば

なぜこんなことを考え始めたかというと、つづ井さんの著作を読んだからだ。

https://www.amazon.co.jp/dp/B07W6FBXWH/
これだぜ

つづ井さんはある舞台俳優を応援している。しかし、その舞台俳優はSNSを開設しておらず、メディア露出もほぼなく、また劇団のHPにも詳細が載っていないため、年齢すらわからないという有様らしい。
そこで、つづ井さんは応援している舞台俳優のことを『推し』と呼んでいいのか悩んでいる、という話だ。

つづ井さんの著作は4年も前に出版されたものだし、私も発売当時に読んだのだが、今までこの話を忘れていた。

あっ、ちなみに現在(2023年1月26日に、CREAさんで絵日記が更新https://crea.bunshun.jp/articles/-/40311)も『推し』なのかどうかは微妙らしい。それはそれで、本人が迷っている状態なら軽々しく『推し』と断定するのは違うと思う。

思い出すきっかけになったのは、最近友達に「学生の頃、あるジャニーズグループのリーダーを推していた」という話を聞いたことだった。

私は、失礼ながら『推し』に抱く感情が多種多様であることを知らず、ほとんどの場合『推し』に対しては恋愛感情を抱くものと勘違いしていた。

しかし、友達はジャニーズグループのリーダーを保護者のような目線で応援していたそうだ。骨折したら「可哀想にねぇ」、ドラマへの出演が決まったら「よかったねぇ」という感じ。

私は応援するといっても様々な形があるのだな、と理解した。
そして、抱く感情が様々だとしたら『推し』か『推し』でないかは何で分ければいいのだ?と疑問に思った。

そういうわけで、『推し』について自分の中で整理してみたという経緯。

……『推し』という言葉が登場してからかなり経つ。
今更すぎる。

2023/2/16追記
ちょっと待ってくれ。
私は資本主義を攻略した者ではないので、例で出した可処分所得を10万円としたが、

可処分所得が100万円だとしたらどうだろう。
30万円を使わなければ『推し』にならないのだろうか。
可処分所得が1000万円だったら?300万円使わないといけないのか?

可処分所得が増えれば増えるほど、『推し』認定するために使う金額が増えるのか?

ちょっと現実的ではない気がする。
ここは再考の余地がありそうだ。


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