【エッセイ】モンスターエナジーパイプラインパンチでしか得られない栄養がある

モンスターエナジーパイプラインパンチは、言わずと知れたエナジードリンクのブランド「モンスターエナジー」の一種。ピンク色のパッケージだ。
ピンク色というか、まあ鴇色というのが近いのか?

私はモンスターエナジーパイプラインパンチが好きだ。

仕事がある日は毎日飲んでいる。たまに買っていくのを忘れたときは、うなじから(腹の底や胸の奥ではなくて、本当にうなじなのだ)ぶわぁっとあのパッケージのイメージが広がっていき、やがて脳内を覆い尽くす。

なぜ朝コンビニに寄らなかったのか、なぜ職場の自動販売機に置いていないのか理解できず血の気が引いていく。

渋々自動販売機に並ぶリアルゴールドを買って飲むのだが、何か違う。あの南国のような底抜けに明るい味が恋しい。

こう書いてみると既に依存しているのでは?と自分でも思うのだが、おそらく大丈夫。休日は飲まない。

常々疑問に思うことがある。

もしモンスターエナジーパイプラインパンチが、大抵のソフトドリンク、清涼飲料水と同じく150円前後だったら私はモンスターエナジーパイプラインパンチをこんなにも愛飲していただろうか?ということだ。

モンスターエナジーパイプラインパンチは200円前後、3割ほど大抵の清涼飲料水より高い。値段が高いということが効能が高いことの担保だと思ってしまっているのではないか?

どこかで聞いた話だと、日本人は高いもの=品質も高いものと思う傾向があるらしい。私もまんまと刷り込まれている可能性がある。

誰しも漠然と南国へのあこがれを持っていると思う。

私も御多分に漏れず、ふわふわとした南国のイメージを持っている。

実際に南国に行ったことはない。私が到達した南端は北緯35度地点だ。

私の考える南国、つまり理想郷は澄み渡る空、青く深い海、ヤシの木はそよ風に揺られ白い砂浜がきらきらと輝く……そういうありきたりな風景だ。

片方電球が切れて本来の1/2の明るさしか発揮できない照明と、敷きっぱなしの煎餅布団と、溜まりに溜まったゴミ箱がいつも私に纏わりつく。

モンスターエナジーパイプラインパンチを飲むと、それらの中に自分の身体が深く深く沈殿し、やがて霧散していく様を想像できる。

散り散りになった身体の行き先は、いつも南国だ。
澄み渡る空、青く深い海、ヤシの木はそよ風に揺られ白い砂浜がきらきらと輝く。そこに行った私はもう私ではない。

妄想の中の南国はモンスターエナジーパイプラインパンチを起点にして創造される。

きっと南国を生成できるアイテムは他にもあるだろう。

だが今のところ、私にはモンスターエナジーパイプラインパンチしかない。

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