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「雷風」へのご感想をいただきました☆(2)

 皆様こんにちは。当地はここ数日ぐっと気温が下がり、半袖では肌寒い気候となっております。急に秋の気配を感じるようになりました。日本はまだ暑さが続きそうな様子。強い台風も接近しているようですが、どうぞお気をつけてお過ごしください!

 さて、『おやこ見習い帖』スピンオフの「雷風」ですが、交流させていただいているとーとさまがご感想を記事にしてくださっています。
 とーとさま、まことにありがとうございます♪

 とーとさま、エッセイやショートショートをお書きになられる方で、登山の腕前は玄人級(ちなみにギターもプロを目指しておられたそうで、こちらもたいへんな腕でいらっしゃる)。登山記録の厳しさと美しさ、エッセイやショートショートの切れ味のよさと味わい深さ、とても読み応えがあり魅力に溢れています。ぜひご一読のほど☆

 さて、とーとさまも気に入ってくださっている宗靖ですが。短編で、しかも物心ついて以来の宗靖の人生は大半が茨の道となると、彼の魅力が伝わるような物語をどう描いたものか…と考えました。
 頭に浮かぶ導入部は、江戸から追放された場面。
 いきなり重いことこの上ない。けれど苦難にどう立ち向かうのか描くことで、彼の人間性がよく見えてくるに違いない。宗靖はどういう行動を取るだろうか…という具合に書き進めました。
 彼の実家である清野家や支藩の多喜浜については本編で割愛したので、そこのところももう少し詳細を書きたかった。支藩というのは主藩(この場合小槇)が所領を分知したものをいい、対象となるのは藩主家の庶流や有力家臣であったりします。独立採算の場合もあればそうでない場合もありますが、多喜浜は独立採算。石高は数千から万石以上と幅広く、立藩して江戸幕府から公式に支藩として認められているものから、そうではないものもあります。幕府から公認されている場合は、江戸に上中下屋敷を持ち参勤交代もします(主藩の江戸屋敷と兼ねている場合もあったりする)。
 通常築城は許されず、支藩の藩主一族は陣屋と呼ばれる屋敷に住んでいます。機能としては城と同じ。早い話が清野家二万石の実態は大名家と変わらない。市井にて育った久弥とは異なり、宗靖は銀のスプーンをくわえて生まれてきた貴公子なのでありました。もちろん側近も家格の高い家の子息ばかり。
 それが彰久の陰湿な企てによって事実上の廃嫡に追い込まれるのだから、耐えがたい屈辱です。誇り高く若い侍であれば、死んだ方がましだと思い詰めても不思議ではない。しかし、そこで折れてしまわないのが宗靖の非凡なところ。17にして、統治者としてどうあるべきか己に問う思慮と、これが正しいと見定めたら茨の道でも突き進む覚悟がある。一度は縁が切れた礼子姫も、諦めないと心に誓う。たいへんしぶとい少年なのでした。

 とーとさま、「江戸時代の武士たちは、今の人たちより良い意味で感情的だったのだと思う」とおっしゃっておられますが、同感でございます。主君が亡くなれば追腹を切ってしまうくらい、一種常軌を逸した一途さと情の深さがあった人々(まぁそうでない侍もたくさんいましたけれども)。
 規律でがんじがらめでありながら、そういう爆発的な感情のエネルギーを秘めているところが武士を描くことの魅力だと思います。
 
 とーとさまは落語の「崇徳院」に触れておられるんですが、こちら有名な落語なんですよね。大店の若旦那が恋煩いで寝込んでしまう。どうも美人の娘に一目惚れしたらしい。手がかりは娘が残した「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」という歌だけ。さぁどうする…!というお話。
 タイトルだけは聞いたことがあったんですが、じっくり聞いたことがなく。とーとさまお薦めの古今亭志ん朝さんによる「崇徳院」を聞いてみたところ、これがとんでもなく面白い!そしてたった一人でこの登場人物たちを演じているという事実に驚嘆します。名演ですので、聞いたことがないという方は下記リンクなどをぜひ!(笑いが止まらないので、公共交通機関を利用する際のご視聴は避けるのがお勧めです)
 https://www.youtube.com/watch?v=yYEDIQ89ENg
 的確に笑いのツボを襲ってくる怒涛の台詞。こういう面白いコメディを書きたいなと思いました(笑)。
 
 とーとさま、お読みくださった上、あたたかいご感想をお寄せくださり、ほんとうにありがとうございます!
 改めて心より御礼申し上げます。
 また少しずつ後日譚も書きたいと思いますので、気長にお待ちいただけたらありがたく存じます。
 
「雷風」は下記リンクよりどうぞ♪

「犬神」を連載中の『深川あやかし屋敷奇譚』もよろしければどうぞ♪
「犬神」残り3話です。

 それでは、週明けは大荒れの天候の予想とのこと、どうぞ安全にお気をつけてお過ごしください。

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