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「おやこ見習い帖」へのご感想をいただきました!(10)

 皆様こんにちは。イタリア滞在中の笹目でございます。一昨日ベネチアから夫実家のあるトリエステという街に移動して来ました。電車で2時間半ほど。目の前にアドリア海、背後にアルプス、そしてスロベニアに隣接するイタリア最北東部の港湾都市です。

 第一次大戦まではオーストリア帝国領であったため、ドイツ文化の影響が残っている土地。かつては東西物流の重要拠点として栄えました。

 ベネチアほど古くはありませんが、15、6世紀の建造物が美しい街です。

 大型客船が寄港中。アドリア海はエメラルド色ですねぇ。

 さて、滞在記はまた改めてということで…。
 交流させていただいている堀間さまより、「おやこ見習い帖」へのご感想を頂戴しました☆
 軽妙で洞察に満ちたご感想、まことにありがとうございます…!!

 コスモポリタンとお呼びいただけるほど開明的な人間ではないのですけれども(汗)、長年移民の立場で、母国ではない世界に暮らしてきたことは、少なからず創作に影響を与えたかもしれないと感じます。
 あらゆることが多様で、正解はなく、問題は多い。そして私たち家族は移民である。
 移民といっても英国と米国で、夫の仕事上身分はある程度保障されてはいますが。しかし移民政策というものは、政権や社会情勢によってコロコロと変化するものでして。
 ことに私は帯同ビザでしたので、就労もできない納税番号もないボランティアだってできない…の無い無い尽くしでした。ようやく永住権が下りたのはコロナ禍中のことです。
 お上の風向きで自分たちの暮らしが振り回される、気分はまさに封建時代の庶民と言えなくもない。
 ならばこの感覚を小説に生かさぬ手はないなと、客観的に状況を捉える目は養われたようです。見てきたもの、出会った人々を描き出すのに、物語はうってつけ。封建時代の江戸の人々の気持ち、よくわかってしまうぞ任せておけ…!などとすべてが都合よく繋がったわけではないですが。したたかでプラグマティック、堀間さまがおっしゃるものの見方や考え方は、確かにこうした海外暮らしによって身についた部分がありそうです。
 そして、江戸時代に生きる人々の生き方から学ぶこともとても多い。実際に生きていた人々の人生を学び、小説に登場するキャラクターにどう生きるのかと問いかけるたび、その多様さや力強さに驚き、力をもらいます。時代小説の読者層が広がり、以前よりも活気あるジャンルとなっているのは、それもひとつの理由だろうと思います。

 問題は多く、正解はますますわからず、どこへ向かへば良いのかと混沌としている社会。どう生きればいいのか、何に価値を見出せばいいのか、自分で手探りして考えなくてはいけない世界。
 堀間さまのおっしゃる、したたかでプラグマティックな勧善懲悪、良いですね!時代小説を一種のシミュレーションとして、ほんの少し生き方のヒントや励ましとなる部分があれば素敵だと思います。
 水戸黄門のように、フィクションであってもどこかで心の支えとなるような、ささやかなもの。
 そういう古くて新しい時代小説にしたいし、そうなっていたら嬉しいです。
 示唆と洞察に溢れたご感想、まことにありがとうございます!楽しんでくださり本当に嬉しいです。
 改めて、心より御礼申し上げます!

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