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『束の間の一息を』 2023/09/30 日記

訳あって数年ぶりに東京に来ることになった。

想像していたよりも人がずっと多いことに驚いた。
あっちを見てもこっちを見ても人、人、人、人。
電車も常に満員で、そこに更に人が入っていき満員の中の満員が出来上がる。そうなった電車は輪郭が少し丸みを帯びる。ぎゅうぎゅうに詰められた人々は大きな駅に着くと一気に外に溢れ出す。ドワっと。そりゃもう決壊したダムのようにドワっと。何かに急かされるように外に出て行く人たちはさながら波のよう。水分子が他の水分子を引き連れてずんずんずんずん行進していく。
そんな同じ視点だと思わず面食らってしまう光景も、台風の時の川の氾濫のように、上空からみたら少しは綺麗なのだろうか。


そんな電車にゆらりゆられて、くたびれた私はもっとくたびれたホテルに着く。
湯船に浸かって、部屋着に着替えて眠りについた。

なんとなく気だるげな朝、駅から少し離れた所にある見知った珈琲屋で今、コーヒーを飲んでいる。
ここだけはいつもと変わらないということが分かって安心する。
よく分からないBGMがいつもより心に沁みた。


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