書くということ


物を食べて
排泄するように
夕陽を眺めて
あの人に会って
病気になって
言葉を、ひり出している

私の吐き出す代謝物は
絨毯に落ちた髪の毛と同じで
あの日積み上げた川辺の石のように
いずれは風化するのだろう

公園でダラダラと
何もない一日を送っている
やっていることと言えば
歳を取ることくらいである
それはただ細胞が死に近づいているということではない
心が、一枚ずつ、めくれている

時を待っている。
言葉という代謝物を残して、
時を待っている。

日々成熟しているこの心
しかし感じ取れない人にとっては
ただ怠けているだけに見えるだろう

気づけば太陽が傾くように
気づけばリンゴが色づくように
一枚ずつ皮は剥がれ
またトイレに向かい
便秘の日もあれば
下痢の日もある
そうやって言葉をひり出し、生きている。



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