詩│葉っぱの雫

水面に降り注いでいた雨が止む
軋んでいた葉っぱが私たちを包む
貴方の精液がぽっかりと空いた心臓に染み渡っていく
満ちた鼓動を分けてあげようと大きな丸太を抱き寄せる
どぶんと沈んでまた浮かぶ
敏感になった手の腹で一筋の隆骨をなぞる
けれど貴方はむくっと起き上がって再び私の肩を掴む

ちがうけど、ちがわない
ちがわない、けどちがう

私は貴方から視線を逸らす
力余る限りの抵抗
薄暗く照らされた退屈な壁
そんな私を見てか、貴方の息が早くなるのを感じる

ちがうけど、ちがわない
けどちがう

そんな叫びは貴方に届かなくていい
葉っぱに残った雫
一言でも漏らしたら零れてしまう
目の奥でこらえる涙は花の蜜

貴方が出ていくまで湖面は凪


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