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#3 マティーニをめぐる冒険

みなさんお酒は好きですか?お酒好きとしては、最近飲まない人が増えてきたのが少し残念です。今日は僕のお酒の原体験である、「マティーニ」について。マティーニといえば、カクテルの王様として知られ、文豪ヘミングウェイや元英首相のチャーチルが愛飲していたことでも有名です。話は中学3年の時に遡ります。


中学3年の時は、英語の授業が週6時間あり、4時間は教科書、1時間は文法問題集で、最後の1時間はペーパーバックを読むという授業でした。先生が選んできた小説はフィリップ・プラウズの1975年の推理小説、The Woman Who Disappeared(消えた女)。教科書には出てこない単語が大量に出てくるので、辞書を引きつつストーリーを追いかけました。

ある日その小説を読んでいると、見慣れない Martini という単語が。辞書を引くと、「ジンとベルモットのカクテル」とある。そもそも「カクテルって何だ」という年頃ですが、とりあえず単語ノートに「Martini:ジンとベルモットのカクテル」と書いて覚えました。先生は授業で、

「マティーニというカクテルだ、君たちも大人になれば飲むようになる」

と嬉しそうに仰ったのです。当時はお酒には興味はありませんでしたが、「大人になったらマティーニを飲むぞ」と心に決めました。

時は流れて、大学入学。当時はお酒に関する意識は今とはかなり異なり、先生方が主催する新入生歓迎会でもビールやワインが大量に出されてびっくりしました。大学生になって最初に飲んだお酒は、クラスの歓迎会でのビールだったと記憶していますが、しばらくすると友人たちと「おしゃれなバーに行こうぜ」という話になり、“Cocktails & Dream” と銘打った大学近くのオーセンティック・バーへ繰り出しました。実は元となる “Cocktails & Dreams” というフレーズは、トム・クルーズが主演した1988年の映画『カクテル』に登場するバーの名前なのです。

最初に頼んだのはもちろんマティーニ。中3からの夢を実現させました。最初の感想は、「変なにおい、あまり美味しくない……」でした。それでも、中学時代においた一つの「点」が今とつながった感覚があり、スリリングな気持ちでした。「これで大人の仲間入りだ」と感じたのを覚えています。


それ以来、旅行や仕事で海外へ行くと、バーでマティーニを頼むのを決まりにしています。香港ではこんな会話をしました。

バーテン:What would you like?「何をお作りしましょうか?」
   僕:Martini with Gin. Stirred, not shaken.
     「マティーニをジンで、シェイクではなくステアで」
バーテン:……しばし沈黙
バーテン:The opposite of James Bond, right?
     「ジェームス・ボンドの逆ですね?」

マティーニは通常、ジンとベルモットを氷の入ったステアグラスで混ぜて作り、シェイクはしません。つまり僕の注文は普通のマティーニを頼んだだけです。しかし映画『007』シリーズではジェームス・ボンドが必ず次の決まり文句でマティーニを注文します。下の動画で歴代ボンドのそのシーンが観られます🎬

Vodka martini. Shaken, not stirred.
「マティーニをウォッカで、ステアではなくシェイクで」

そのセリフをちゃんと覚えていて、僕の注文を「ジェームス・ボンドの逆ですね」と返し、ニヤッと微笑み返したバーテンの素敵な表情が記憶に残っています。タイトル上の写真はその日のバーカウンターです。

今日もお読みくださって、ありがとうございました☕️
(2023年6月29日)


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