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佐々木 拓馬
2023年3月15日 12:45
カウンター越しの店主ショートカットの女性過去の水泳による肩の張り包丁を手際よく叩くそのリズムに乗せられて心が踊るおいしい料理をたべられるいいおみせここは路地裏びりえっと
2023年2月13日 16:53
朝の電車は うつろで昼の電車は ほうけていて夜の電車は うつむいてなにか渦巻き右往左往する感情漂う最終電車やたら派手なシャツを着て無表情で無感情な傍観者の私だけが電車の中で生きている
2023年1月11日 16:54
立ち小便みたいに どこでだって化粧をするカールのまつ毛に色まで付けてカラフルなまぶたはアイスのトッピングの様だが食欲は湧かない熟れすぎた林檎のように真っ赤なほっぺたに食欲は湧かない光る唇はフライが大好きな事を語りかけてくるが食欲は湧かない
2023年1月3日 23:42
真っ暗な夜の海の砂浜に打ち上がった魚それを食べる鳥の姿を街灯が見せつけて月の灯がきらきらと美しさを添える削られた山は土となり畑として耕され 道ができ朽ちた木がそこに横たわるように寝そべって行手を阻むその先に 伸びきった草が視界を遮るその奥のひんやりとした空気と静寂が巨大な自然の疲れを伝えているどうしようもない運命をそのままに受ける自然のもの達を前に人は大切な
2022年12月12日 20:03
「この木も生きている」そんなふうに言われ ぺちぺちと触られるわたしは100年ちょっと生きているらしい生きている そう 生きているまだまだわたしが小さき頃 枝をへし折られたり葉をむしられたり 皮をはがされたりそういうことをやられましたでも 大きくなった頃 「素晴らしい大きな木だ」 と言われてから枝も葉も皮も大切にされ 側に人が寄らなくなった素晴らしいなんて 本
2022年11月16日 19:59
雨が降るとともに寒さも落ちてきて人の衣が分厚くなるとともに街のガラスは蒸気を纏い虫の音の変化とともに空が明るさを減らして朝と夜を対等にみせる秋の味覚を味わいながら本当にくるのかと疑っていた冬が境目をはっきりと示しはじめて夏の心を引き剥がす
2022年11月1日 12:19
赤ちゃんは泣いている母ちゃんはあやしている時間は時計をまわし続けて地球はつられてまわり続けて赤ちゃんは眠っている母ちゃんは泣いている時間は未来をはぐくんで地球はいのちをはぐくんでやがて ふたつのいのちは色を変えて大きさを変えてひとつ消えひとつ生まれひとつ消え母と赤子は愛をはぐくみつづけて 時間を越えて地球をせせらぎ脈をうつ赤ちゃんは笑っている母ちゃんも笑っ
2022年10月17日 19:57
海辺の勘違いを風に乗った帽子が運んでくる強い風が顔をなで髪をなでその後もずっと吹きつける前が見えなくなることはなくても辺りがほとんど見えなくなるような強い風がまだ吹いてまだ吹いてそして帽子はどんどんどんどん遠くに飛んでゆく
2022年10月6日 10:44
よく知らないけどよく笑うよく知らないけどよく感じるよく知らないからこそ沈黙するがよく知っているかのような穏やかな時間が流れるよく知らなくてもよく知り続ければよく笑い合えるからよく知らなくてもよく知ってるように楽しいよく知らないことは知らないこととは違うよく知らないことがよく知ることのはじまりでよく知らないからこそよく知りたいよく知ったからといってよく知りえたのではないよく