マガジンのカバー画像

10
詩です。日常で思わず立ち止まった場所のことを詩と呼ぶような気がします。
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

うつる

うつる

雨が降るとともに

寒さも落ちてきて

人の衣が分厚くなるとともに

街のガラスは蒸気を纏い

虫の音の変化とともに

空が明るさを減らして朝と夜を対等にみせる

秋の味覚を味わいながら本当にくるのかと疑っていた冬が境目をはっきりと示しはじめて

夏の心を引き剥がす

ぬれた大地

ぬれた大地

赤ちゃんは泣いている
母ちゃんはあやしている

時間は時計をまわし続けて
地球はつられてまわり続けて

赤ちゃんは眠っている
母ちゃんは泣いている

時間は未来をはぐくんで
地球はいのちをはぐくんで
やがて ふたつのいのちは色を変えて
大きさを変えて
ひとつ消え
ひとつ生まれ
ひとつ消え

母と赤子は愛をはぐくみつづけて 時間を越えて
地球をせせらぎ脈をうつ

赤ちゃんは笑っている
母ちゃんも笑っ

もっとみる