読書記録　9

今回読んだのはこちら↓

『Ｒｅ：ゼロから始める異世界生活』

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ネタバレちょこちょこあるのでお気をつけて読了願います。知らない人はネタバレせずに第一章だけでも読もう、大事なので。

注意書きはよんだねー？

　コンビニ帰りに異世界召喚した主人公！チンピラに襲われて引きこもりな彼は絶体絶命！でもそんな彼を助けてくれた銀髪美少女ヒロイン！彼女は実は王族の一人！いまれる出自を持つ故苦難に見舞われる彼女の力になりたいと願う主人公には実は特別な力が！彼女の笑顔を守るため！挑め痛快異世界召喚ファンタジー！

　なお初期条件として、特殊能力は「死に戻り」（ペナルティ有り）、攻略難易度は「ルナティック」、セーブ地点は「主人公が死の危険を乗り越えた地点」と設定する。

　引きこもりって地獄に値する罪業でしたっけ？？？？みたいな気持ちになる作品でした……。でも面白いから読んじゃうんだなあ…。アニメ化もしたので見た人多いのでは？
　初期条件が初期条件なのでもうびっくりするぐらい景気良くみんな死にます。ホラゲーだってもうちょっと手加減するよ？？みたいな気持ちになるぐらい死にます。グロが苦手な人にはおすすめできませんが僕は好き。

　基本的に、登場人物諸氏がメイド属性とかエルフ属性とかそういうテンプレートなライトファンタジー要素を差っ引くと、みんな割と等身大の少年少女。
　主人公は死に戻り以外はメンタルちょいトラウマ持ちの引きこもりのコミュ障（陽キャラ演じちゃうタイプ）だし、いろんな魔法の使える精霊使いでとっても強いヒロインは生い立ちや自分に屈折したところを持っていて、同時にささやかな理想を目指して頑張る、約束や大切なことに潔癖症気味な女の子（いっはいいっぱい）だし。
　主人公が一つの約束を破ってしまったことからヒロインはケンカ別れをしてしまったり。やっぱり俺はヒーローの器なんかじゃないんだって心がぺしゃんこになった主人公を、最初険悪だったメイドの女の子が君は私にとっていつだってヒーローだって言ってくれたから、もう逃げられないなあって頑張って立ち上がったり。立ち上がった先でまた、絶望的な展開に打ちのめされたり。
　現実にありふれているように、失敗もたくさんして、盛大に挫折して、もうだめだーってなんどもなってへし折れます。
　でも、現実がそうであるみたいに、本当には完全な一人ぼっちになんてなれない彼らは、誰かに支えられながら立ち上がります。　
　立ち上がりかけてすっ転んだりもしますがご愛嬌。
　ご都合主義とはなかなか行かず。運悪くぽっくりいったり、誰かの悪巧みの巻き添えでゴミクズみたいに死んだりもして。大切な人を何度も目の前で失ったり大切な人に殺されたり仲良くなった記憶が相手から吹っ飛んだり。そのたびへし折れ、その度苦しみ逃避して。
　それでも、死に戻りの力を振り絞って、死ぬのを怖がりながらも、ない知恵絞って悪巧みを突き止めたり助けるためにあがいたり。
　死にながらも、精一杯に自分のいない未来にささやかなないのりを託したり。
　その喪失をすべて知るのは彼だけで、死に戻りを使ってさえうまく行かないこともあって。

　それでも、彼の愛した、守りたいと思った女の子の笑顔は、彼女の弱さも汚さもまるっと含めて世界で一番かわいいし、支えてくれる人もいて。見放されたり失望されたり、尊敬されたり頼られたり。七転八倒で今日はどうなる明日はわからん、昨日はなんとか生き延びた。そんな振り回されながら精一杯な、格好悪くて、だけどとってもがんばる主人公たちの姿に青春時代の自分をかさねてあちゃー！ってなったりする、そんな読後感のお話でした。嫌いじゃなければおすすめです。ジュブナイルしてるよ！なおぼくはなろうの方でよみました。お財布に余裕ができたら書籍版ほしいなあ。