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アメリカの国民投票の期は熟しているのか?

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アメリカ大統領選挙まで2週間を切るなかで、ジャーナリストのジョー・マシューズは、アメリカにおけるスイス方式のダイレクトデモクラシー・システムを主張している。

2020年10月24日-11:00

カリフォルニアには、中絶から投票権、温室効果ガス削減までの問題に関するアメリカの腐敗したポピュリズムと政治の麻痺に対するソリューションがある。

そのソリューションは、国レベルでダイレクトデモクラシーを採用することだ。これにより、アメリカ人は、国民投票によって、アメリカを分断する最大の質問に投票することができる。そうした変革を規定することは、ひどく挑戦的だったり危険だったりしない。議会がするのは、ジョン・マツサカというカリフォルニア人によって提供された一連の実務的なステップに従うことだけだ。
私は毎年恒例の現代のダイレクトデモクラシーのグローバルフォーラムの共同会長​​で、マツサカと知り合ったが、彼は南カリフォルニア大学(USC)のビジネス法学部に所属し、他のどのアメリカ人よりもダイレクトデモクラシーについてよく知っている。彼は何年もの間、アメリカの州や都市がダイレクトデモクラシーのツールをどのように使用しているかを追跡するイニシアチブ&レファレンダム・インスティチュートを存続させてきた。
現在、マツサカは「Let the People Rule」というタイトルの本の中で、小心な学者は決して提供しないもの、つまり明確で実用的な計画を提供している。6つのステップでダイレクトデモクラシーのツールを導入、主要な問題についての拘束力のない国民投票、法案化、約定から始めて、どのように共和国を改善できるかを示している。彼のアプローチは、合衆国憲法を改正するという課題がなく、ほとんど恨みやリスクなしに、簡単に採用することができた。

マツサカは、なぜ国レベルのダイレクトデモクラシーがこの国の自然なステップであるか、筋の通った物語を提供する。より科学的になった複雑な世界で、国の政府はますます複雑で技術的になり、それに対して、アメリカ人は、市民生活を分裂、破壊する怒りとポピュリズムで応じて、隔たっている。この物語では、ダイレクトデモクラシーによる投票は、統治者と被統治者の間の力強い架け橋になり、怒りを建設的に具体的な提案にし、中央政府がもっと応じるツールを人びとに与える可能性がある。
「私たちは、テクノクラート的な専門家の中心的な役割を維持しながら、既存の制度を増強すること、つまりも人びとがコントロールを可能にするツールを追加することを考える必要がある」と彼は書いている。
マツサカはダイレクトデモクラシーに反対する議論、特にそれがアメリカの伝統に反しているという考えを注意深く壊している。建国の父の何人かは、普通の人びとが統治する本当のデモクラシーはそれ自体を破壊するだろうと主張した。しかしマツサカは、彼らの見解は古代のデモクラシーは大失敗という誤解に基づいていたことを示している。最近の歴史の研究は、デモクラシーが市民にきちんと役立ったことを示唆している。彼はまた、人びとの投票は国より古いアメリカの伝統であることを示している。トーマス・ジェファーソンはバージニア州憲法にダイレクトデモクラシーを提案し、マサチューセッツ州とニューハンプシャー州は住民投票によってアメリカ憲法を批准した。1857年以来、連合に参加する州は、最初に住民投票を行うことが義務付けられている(この11月3日のプエルトリコ人への投票のように)。

国レベルのダイレクトデモクラシーを加えることは、私たちの憲法構造をより民主的にするという長年のアメリカの伝統に叶うだろう。私たちは歴史を通じて参政権を拡大してきた。大統領選挙人を選ぶ権限を州議会から有権者に移した。秘密投票とさまざまな腐敗防止対策を導入した。上院議員の直接選挙を確立した。地方のダイレクトデモクラシーはこの民主化の歴史の一部であり、全国の州や都市は、過去1世紀の統治の日常的なツールとして、イニシアチブ、住民投票、その他の投票手段を使かっている。
こうした流れの中で、国の問題にダイレクトデモクラシーを導入しそびれているのは奇妙だ。マツサカが繰り返し指摘しているように、アメリカは、250年の歴史の中で国民投票を許可しなかったという点はたいへん異常だ。世界のすべての地域の国の大多数、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカの国の90%は、1980年以降、少なくとも1回は国民投票を行っている。ここでそうした国民投票を始めるのは、信仰の飛躍を必要としない。 アメリカ人の3分の2以上が、その考えを支持すると世論調査員に話した。

「デモクラシーの先駆者であり、一般市民によって創設され管理される政府が成功することを証明したアメリカが、国民に単一の国の問題への投票を許可したことがないことは注目に値する」とマツサカは書いている。「他のほとんどすべての国が国民投票を行って国の重要事項を決定しているが、普通のアメリカ人は、自分たちの生活に最も影響を与えるパブリックな問題から距離を置いたままだ」。
マツサカの6段階の計画では、ダイレクトデモクラシーの慎重な導入が求められ、法律で承認され、憲法改正を必要としないツールから始まる。まず、国会は、諮問的で拘束力のない国民投票を行う権限を自らに与えるべきで、これは、過去に下院の多数派リーダー、ディック・ゲッパートによって支持されたアイデアだ。これは、国会で少数派によって阻止されている、特定の不法移民の地位を合法化する夢の法律のような、広く知られている法案を推進するためのツールとなる可能性がある。
第二に、現在、欧州連合の住民が大陸の市民イニシアチブのプロセスで行うことができるように、国会は、多くの異なる州で請願の署名を集めることで、特定の問題について拘束力のない国民投票を行う権限をアメリカ市民に与えることができる。これは、動物の権利、より高い最低賃金、合法的なマリファナ、裁判官と下院議員の任期制限など、州で投票されることが多い問題を国レベルでも人びとの動きを生み出す可能性がある。
第三に、国会は、国際条約の承認や軍事行動の実施など、特定の主要な決定を行う前に、国民投票を要求する可能性がある。これの長所は明らかであり、気候変動に関するパリ協定のような協定についてより多くの議論を生み出し、新しい戦争を追求するアメリカの傾向を抑制する。マツサカはまた、主要な債務と税法案に国民投票を要求することを提案している。これは、隠された条項や、意図しない結果の精査を増やす可能性がある。
マツサカは、そのような諮問的な国民投票が国民に支持されることが分かったら、十年単位でアメリカ人は憲法を変更して、拘束力のある国民投票、法改正のイニシアチブの拘束力のある投票、さらにはダイレクトデモクラシーによって採択される憲法改正など、カリフォルニア州民に馴染みのあるより強力なダイレクトデモクラシーのツールを採用する可能性があると主張する。
USCの学者は、問題に対する一般投票への反対意見を打ち消すことに特に積極的だ。国民投票は分裂的ではない。それどころか、イタリアやアイルランドのようなとてもカトリック的な国でさえ、中絶の合法化問題を私たちよりもうまくまとめた。
国民投票は過激主義を促進しない。調査によると、有権者の見解は政治エリートほど極端ではないことが示されているため、反対のことが当てはまる。そして、特に国民投票キャンペーンのすべての側面に資金を提供する公的システムを確立するというマツサカの提案を採用すると、今よりも金銭的な利益が支配的でなくなる。
もっと広く言えば、マツサカの本は、エスカレートする政治戦争を私たちはどれだけ長く続けることができるかという疑問を投げかけている。それぞれが現在支配している政府部門の非民主的な力を強化しようとしていて、それでもアメリカを民主共和国と呼ぶ。アメリカをデモクラシーの国にし続ける最良の方法は、デモクラシーをもっと実践することだ。
マツサカは、「国民が自分たちの生活に影響を与える重要なパブリックな問題について発言できるようにすることは過激だと考えている。これは、アメリカ政府の非民主的な性質の不幸な証拠であり、是正が遅れていることだ」と語った。

Joe Mathewsは、Zócalo Public Squareのコラム、Connecting Californiaを執筆している。

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ジョー・マシューズ(Joe Mathews)は、ロサンゼルスのZócalo Public Squareのカリフォルニアのコラムニスト兼イノベーション編集者であり、現代のダイレクトデモクラシーのグローバルフォーラムの共同会長。家族と一緒にサウスパサデナ市に住んでいる。


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