重力ピエロ(映画)
15年ほど前、伊坂幸太郎さんにハマっているときに読んだ小説の映画。
当時も映画は見たはずなのに内容がおぼろげだったので再視聴。
あらすじ
弟の春(岡田将生)は落書き消しのアルバイトの最中、世間を賑わせている放火と
落書き現場が近い場所で行われていることに気づく。
兄の泉水(加瀬亮)とともに事件を調査していくうちに自分たちの過去と向き合う。
なんでもできる弟の春と、兄泉水の対比を描きながら事件を追っていく。
感想とオチ
春は母が強姦された末に生まれた子供だった。子を宿してると告げられた父(小日向文世)は、即答で「生もう」と力強く答え奥さんを支えています。
父はこの作品を象徴するような人で、僕がこの作品で一番好きな言葉も
このお父さんの言葉です。
強姦魔は当時高校生で30件もの事件を引き起こしたにもかかわらず5年で出てきてしまっている。
その犯人が巡り巡って二人が住んでいる街に戻てきていることを知ったことで
春は今回の放火と殺人を決意する。
最後はなんとなくいい話のようにふわっと終わっているのだが
春の生き方と、父の言葉が相反するものに感じている。
父は「本当に深刻なことは陽気に伝えるべき」という信念をもっており
そのことが母(鈴木京香)を射止めるきっかけにもなっている。
そんな家族との回想の中で家族4人がサーカスを見に行ったものがある。
そこで空中でおどけて見せるピエロに、春は「落ちてしまわないか」と不安になるのだが
母は「あんなに笑顔で楽しそうにしてる人が失敗するわけない。落ちても大丈夫」
父は「楽しそうに生きていれば重力だって消してしまえるんだよ」と続けている。
ピエロはとらえどころのない、自由で楽しそうな象徴だと思うのだが、
「春が二階から落ちてきた」で始まり終わる今作。
父や母の教え、重力ピエロというタイトルに対し、落ちてくる春。
とてもビターで好みの映画だった。
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