#13 保護者の誤った行動がジュニア選手を苦しめることがある

前回の記事の続きです

私が体験したジュニア選手の話を書きたいと思います
なお,選手に許可を取っているわけではないので,実際の内容をぼかしています

ある女子ジュニア選手がいました
その選手は体重管理に悩んでいて,相談に来てくれました
話を着たところ,
・中学校に上がる前くらいから成績が落ちてきた(体重も増えていた←成長に伴うもの)
・その時期から指導者に「痩せろ」と言われた
・小学6年生からダイエットをしている
・体重が減ったこともあったがなかなか痩せない
・月経不順になることがある
・保護者のサポートが強い←いいことなのだが,実はここがやっかい
・体重が減らないし,成績も良くならない (のが辛い)

この選手の所属チーム全体にサポートしていたので,身体状況や栄養調査を行っていてある程度データを持っていました

この選手の特性は
・体脂肪率が高い
・エネルギー摂取量が極端に少ない→信じられないと思いますが1000kcal/dayだった
・実測できていないが,確実に利用可能エネルギー不足

と言う状況
本来であれば,すぐに産科のスポーツドクターを受診させたいところでしたが,保護者の様子を本人や顧問の先生から聞き取りしたところ,難しそうでした

さて,「保護者のサポートが強い」と書きましたが,保護者がどういう状況だったのかというと
・独学でダイエットや食事の勉強をしている

・民間のスポーツ栄養に関する資格 (と言っていいのか?あれは) を取った

・●●ダイエットをきょうだい (あえてひらがなです) に行い,成功体験があった

という感じ

食事や栄養に興味を持ち,子どもを最高の状態にしたいと思い取組んでいる姿勢はすごく嬉しいですし,良い方向に向かえばいいなぁと思います

ですが,上記した内容が選手 (子ども) を悪い方向に進ませていました

この選手は,中学生くらいからダイエットをしていた影響で極端な利用可能エネルギー不足に陥っていたと推測されます
そのため,体重管理が難しい状況となり,体脂肪が減りづらい身体になっています


栄養調査の結果,1日のエネルギー摂取量,1000kcal/day以下ですよ


成長期で,十分なエネルギーと栄養素が必要な女子ジュニア選手なのにです
1日の食事写真を撮ってもらい確認しましたが,言葉が出ないくらいの食事でした...(食事内容が本当にひどく,ジュニア選手が食べる食事ではなかった)
これらの管理はすべて保護者で,保護者の言葉に選手が従っている状況でした

この選手対して,サポートを試みましたがなかなかうまく行かず,サポートが終了してしまいました

今でも非常に心残りなサポートです



ジュニア選手の食事調査をすると,エネルギー摂取不足,脂質過多,たんぱく質不足を多く見かけます
調査の精度も考えなければなりませんが,合わせて聞き取りをしてもこのような感じの選手が多いです

スポーツに関わる栄養士として,選手にはより良い身体状況で競技に臨んで欲しいと思いサポートを実施します
です
ですが,ジュニア選手の生活時間のほとんどは家庭か学校であり,栄養士と関わる時間はそのうちのごく僅かです

ジュニア選手のコンディション管理は,本人の管理能力は当然のこととして,保護者の影響,関わりが非常に重要になります


食事は毎日するものであり,「生きる基本」です

●●ダイエット,××は▲▲によい,といった情報は多くありますが,はっきりいっていらない情報です

まずは,毎日の食事を楽しく食べる,そして,何でも食べる
食べることが嫌にならないことが大切です


競技能力を上げるための食事や栄養摂取は,「食べること」をしっかりできるようになってからで遅くありません (実は,「食べられるようになる」ための栄養摂取もあるけどここでは割愛)



ジュニア選手には,心の底から食べることを楽しんで欲しいと思っています

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