見出し画像

政策研究大学院大学卒業+9月からバーミンガム大学MPHに進学します!

政策研究大学院大学/GRIPS 公共政策プログラム医療政策コースを修了しました!
修士(政策研究)をいただきつつ、成績優秀の一人としても表彰してもらえました。
特に春学期は、興味のある科目すべてを履修登録して、年間69単位と2回卒業できるくらいの単位をとりました。
 
久しぶりの学生生活で、授業をうけて勉強することがとても楽しく、時間のある今年は、溜まった本をたくさん読もうと思っていたのですが、
政策、政治、経済、財政、農業、外交、民俗学や文化人類学…など自分の興味のカバー範囲が広がるだけ広がって、かえって積ん読が増える結果となっています。
 
そして、学業(仕事)と自分の時間や睡眠の時間のバランスがとれた状態。これが医師として7年間働いている間におかしくなっていたので、一旦ゼロベースにリセットできたこともよかったのかな。 おかげで、アトピーがこの一年でかなりよくなりました。
 
ここで勉強したことが、自分のキャリアでどのように役立てるかはいまだ自分にとっても未知数ですが、
医療政策を専攻しつつ、「健康の社会的決定要因」に関して、○○学とも言い難いテーマで修士論文を書き、行政などの実務経験者の同級生たちと、公共政策学を学んだのは、とてもよい経験になったし、
やっぱり公衆衛生の枠組みの中では勉強できないだろうことで、自分が知りたいことが勉強できたのは有意義だったと思います。
 
それで、どうして大学院をでて、また連続して公衆衛生の大学院に行くかですが…
集団や社会を扱うことを勉強したいとすると、当然、公衆衛生が思い浮かぶのですが、今年はあえて公共政策を勉強していました。

健康のためになにかをしようと思ってもそれは
・政治力学や制度、社会の動向によって大きく影響されるから、「医学、公衆衛生学的に理想」を掲げても、それが社会には実践できないこと
・健康という側面からだけみるのでは、ひとが幸福に(幸福が社会の価値観として十分かはさておき…)生きていくための社会には片手落ちであること
・例えば「健康の社会的決定要因」にアプローチするとしても、そのためには経済や労働政策、教育政策などにアプローチしないといけないこと そのような他の学問分野の理解がなければ、医療側からの一方的な情報発信(あえて言えば無責任な)となること
・社会保障費も、高齢化も、医療や健康はさまざまな意味で日本の大きな要素(課題)であること
 
それで、あえて公衆衛生ではなく公共政策を今年は選んでいました。
ですが、大学院で勉強する中で、やっぱりpublic healthも勉強しないと、と思うようになりました。
当たり前といえば当たり前なのですが、学生として医師の立場を離れていても、自治体からきている同級生と自分が話すときに、医療や健康に関して発言をすることは、どうしても「医師が発言している」という風にみられるし、その責任から逃れられないと思ったからです。
さらに、公衆衛生public healthといっても、近年は、健康という結果だけではなく、個人が安心して生活できることや、幸福であることや、満足して死ねること、なども徐々にoutcomeとして設定されるようになってきています。
 
それで公衆衛生を改めて勉強したいと思いなおしました。
ただし、社会政策や社会学などの人文系や、地域活動などの実践という意味での公衆衛生を勉強するには、日本よりも外国、特にヨーロッパでやるのがよいだろうと思い、いろいろ考えてバーミンガム大学のMPHへの進学を決めました。
というわけで、8月頃から1年間バーミンガムに行きます。このあたりの大学の選択などはまた別の投稿で改めて…
それまでの3-4か月はしばらく昨年働いていた安房地域医療センターの救急科でお世話になります。
 
個人的ないまの興味は
・社会疫学などの結果(健康の社会的決定要因など)が社会政策に反映される政策過程(EBPMなどと類似した話題)
・「健康の社会的決定要因」を修士論文のテーマにしましたが、「健康」がアウトカムというよりも「幸福」とか「満足した死」がゴール設定でもよいのではないか、と考えるようになりました。その流れの中で、「健康都市宣言」の流れをくむイギリス発信の「コンパッション都市」という概念を知り、興味をもったのですが、たぶんに死生観、民俗や文化、共同体の位置づけに関係する部分だな、と。グリーフケアなどの個人的な体験やナラティブな部分と、都市や共同体の在り方のような社会的な部分をつなぐ面白い(そして、1つ目のテーマとも関連する)テーマだと思っています。でも、特に死生観に関わる部分は欧米と日本とでは大きく異なることが予測されて、さらにそれを都市運営として行うとなると、より一層ちがったアプローチが必要になると。
 
このあたりの興味の基礎になるようなことを、イギリス バーミンガムで勉強できればよいな、と思っています。
まだしばらくは、東京の家と館山の職場を行ったり来たりしているので、機会がある方はよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?