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カップ戦準決勝を裏から見た日記

これまでカップ戦では13年前の天皇杯で準決勝まで行った事はあったけど、ホームアンドアウェイの形の準決勝は初めてのこと。
そんな試合の裏方など滅多に出来るものではない、ということでCVSにて参戦。

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控室のホワイトボード芸は毎試合のことだけど、今日のこれは特別に素敵。
「これをヒロキくんが掲げるところが見たいなあ」
CVS担当の社員さんがうっとり語るのにうっかり泣けそうになった。
泣くにはなんぼなんでも早い。

ところで前売りの状況は金曜日まで全く芳しくなかった。オフィシャルのトップページでも推察された通り、一万枚どころか9千にも届いていなかった。それが前日には13千に急増し、当日の結果は15,996人。

アウェイのガンバ側は、売れていた枚数に対して目測で半分以下に見えた。チケットを手にしながら、台風の欠航で涙を飲んだサポーターは多かったんだろう。アウェイ側でそうなのだから、本州在住札幌サポーター側で泣く泣く断念した無念の数たるや。来れなかった人達のために、26日の舞台を是が非でも用意しなければ と思った人間は両軍共に少なくなかったろう。

「どこから湧いてきたのかと思うほど」に先行入場者数が多く一般入場が30分も遅れる。3万オーバーの浦和戦を体験しているから、その半分なら忙しさは程々かと思いきやあれこれ奔走。
「ゴール裏はあちらです!劇場シートはあちら!シニア優待OK!」
ビール半額デーでもないのに飲み物を溢す人が多かったのは、なんやかや皆テンションが高かったのか。

カップ戦のアンセムを背中に聞きながらチケット拝見は続く。普段の試合とは違う音楽はそれだけ特別感。場内では今頃コレオが広がってる。見えなくてもいつもと違う空気を感じる。

違う空気はいい意味ばかりではなくて、前半感じられたのはむしろ微妙な固さだった。歓声や手拍子が長続きしない。重そうな空気。試合がそういう内容なのかな、という察し。

「同じ相手に3連敗はだめだよね」
「だよね」
そんな会話が為される休憩を経て後半。
26日の試合のために予約したツアーのキャンセル料6,800円を払うことになるのかならぬのか、運命の45分は「あ、前半と違う」、そんな応援の声で始まった。強さを増した声と手拍子と長く続かない歓声と溜息で、攻めているけど決まらない感じなのが分かる。分かるんですよ!

相手は0-0でいい。1点取れれば尚良い。攻めているのはわかる、けれどしっかり守られている。鍵を握っているのは相手、だけどこちらが1点取れれば立場は一気に逆転する。逆転することができるのか。

70分過ぎに湧き起こった「行けサッポロ」はそれまでと全く違う声だった。いつもドームに響くあの歌だけど、ハッとするほど大きかった。思わず場内の時計を見た。71:05。この時間のスティングを覚えておこう。こんな声が出せるんじゃないの。すごいじゃんゴール裏。場内が奮い立つ声だよ。試合変えられる声だよ。

それから5分後に、強く長く途切れない歓声が起きた。
振り返るとスタンドのお客さん達が立ち上がって手を振っている。得点の証左。立場逆転。

そこから先の自分ときたら全く腰抜けで笑い話だ。
産科の前で誕生を待ちわびる、扉の前でグルグル歩き回る父親の様子を実演する羽目になった。
「1-0で勝てるとは思えない」というのはミシャになってからの共通認識だ。だけどこのチームが1-0で勝つならこんな日だろう?

自分の持ち場からは相手の攻撃がチラ見えするだけ。だからチラ見えしてるということは攻撃されているということ。ドームの時計が50分になったら終わるはずだ。時計を見るとどうやっても攻撃してる(らしい)ガンバがチラ見えする。怖い無理見れない!!

守り切った安堵の声の次に聞こえてきたのは審判の笛だった。
夢には見ていたけど、目標にはしてたけど、ホントにこんな時間が訪れるのかマジか!キャンセル料払わなくていいのか!埼玉行っちゃうのか!これだもNHK杯フィギュア真駒内全滅するわな!運を全部さいたまに向けていたのだ!と一挙にいろんな感情が湧いてきた。泣いてない。準決勝で泣いたらそこで完結すると過去の事例から学んでいる。泣くのは勝ってから。

選手が場内周回を終えて退場して、お客さん達が続々と帰途につく。
そんな中、「試合見たかったでしょうに、ありがとうね」と声をかけられた。有難い事ですが、そんなこともないです、怖くて見られなかったです…

ゴミ片付けの手伝いをして、もう中の人は掃けたかな、普段ならだいたい掃けている頃合いに中を見に行くとまだたくさんの人達が余韻を楽しむようにそこにいた。空気はさっきまでの熱がしっかりと残っているようだった。

笑顔に溢れた終礼をしていそいそとビールの会へ。
いつもと同じ乾杯のようなのに、いつもと全然意味の違う乾杯。
こんな日にファクトリーでビール200円イベントとは全く世界が味方についている。

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歴史って本当に変えられるものなんですね。せっかくなのでもうひとつ変えたいな。
けれどいまは26日に応援出来る事が本当に純粋に嬉しい。ただただ嬉しい。
変な脳内麻薬出っぱなし。肌が綺麗になりそうだ(ならない)。

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