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Tokyo2020オリンピック セルフポートレート⑥

Season2 予選 〜トライ アンド エラーのRoad〜 

Episode3: 新たなチーム編成

予選も中盤に差し掛かる頃、私たちアナウンスチームも二手に分かれてゲームに挑みます。
モーリー、デイブ、私のEnglishチーム
ヨーヘー、マーカス、女性アナウンサーのチームJapan。
(主な指示系統が英語か日本語の違い。)

この編成により私も朝からのシフトに入り、
そこで早番で音楽を担当していたDJ Shogo と出会います。
今まで入れ違いで挨拶程度でしたが、今回は彼がエンジンをかけたおかげで
我々も一層加速します。

Shogoは元々クラブDJで、スポーツ好きのためルールを覚えるのも早く、
今回の会場やゲーム中の音楽もプレー内容に合わせてタイミング良く選曲し、
「重いファールの時にはそれに合わせた曲調で。」というモーリーの要望にも応え信頼を得ていた。
また、日本人しか解らない曲も含め試合を“音“で盛り上げます。

この日は4試合担当し1試合目の終わり、
Shogo 「Kazさん無観客の会場を盛り上げてますね。やはりスポーツはLiveですよね?」
私 「そうだよね。いつもそう考えてるんだよ。」
Shogo 「チョット考えます。」
私  「何を?」
Shogo 「内緒。」

2試合目

彼は音源を編集し、試合が始まる30秒前から曲を切り替え、
モーリーがフロアーディレクターに出すカウントをみて「Tokyo!」という言葉を加え、試合開始のホイッスルが吹かれる少し前からカウントダウンを入れてきた。

そして試合中の7mスロー(サッカーで言うペナルティキック。シューターとキーパーの1対1の勝負)では、時に必殺技仕事人のテーマ曲を入れてくる。
これが私を刺激し、より一層視野を広げる事になります。

次の試合から、こんな事をコメントしてみようと心に決めました。
デイブの試合開始1分前コールの後に両チームの円陣が解けるのを確認し、
「さぁ、ハドルを解く両チーム選手の声がこの会場に響き渡り、あとは試合開始を待つのみ。」
30秒前には「アレ リャ ブルー!、ファイティン!、バモス!、ヘイヤー!、」
など対戦する各チームの国の言葉で「ガンバレ!」のコメントを加えカウントダウンへ繋げてみようと。
(このガンバレは予選まで。その後は時々劣勢チームに使用。)

3試合目

前回決めたアナウンスを1分前から入れ、
Shogoは30秒前に今度は「Are you ready Tokyo?!」と音声をいれてきた!
私も透かさず「Are you ready?!」とリピートします。
(後にデイブも「We are ready!」とコメントしカウントダウンへ繋げ、
ホイッスルが鳴り最初の得点が決まるまでデイブが淡々と簡単なチーム情報を
アナウンスし、これが決勝までの定番となりました。)

また試合中の7mスローで必殺仕事人が流れた時には、
「ここで出てきたのは7mの仕事人〇〇」(時代劇の悪代官風に)
と言ってデイブにパスを出し、シューター、キーパー、それぞれのコメントを用意してましたが、、
なんとボールはゴールポストへ!
思わずデイブのアナウンス前に、「必殺ゴールポスト!!」とコメント。
会場にいる日本人だけの爆笑を誘ったのは言うまでもありません。

またディフェンスからオフェンス移り、ゆっくりと一列で相手ゴールに向かうシーンではスターウォーズの帝国軍のマーチがかかり、
私は咄嗟に「May force be with you. コフー、コフー」と名台詞とダースベーダーの真似もしてみました。

反応したのはデイブとモーリーのみ。誰も解らず。身近すぎる内輪ウケ。 
ただの鼻息の荒い人になってしまったので、ボツ!!

しかし、いつどんな曲のパスがくるのかわからない。
Shogoは試合後も黙々とパソコンと向かい、我れも次の準備を進めます。
ゲーム、音楽、アナウンスと正にLiveの共演の始まりでした。

4試合目

この試合ではデイブとのスイッチャー チェイスが白熱し、
お互いパスを出し合いモーリーがモニターで細かいところをアシストし決めていきます。

タイムアウトでは、1分間のカウントダウンがスクリーンに表示され、
残り10秒前のブザーが鳴り、0秒までのブザーまでの間に新たな隙間スイッチチャンスも発見しコメントを入れていきます。

気がつけばスイッチ争いは共演と変り、次の担当アナウンサー達へブースを明け渡しました。
こうして“音“と共に一段とギアを上げ、その先もお互いを高めて行くのでした。

つづく

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