「カタカナ語を使うな」という批判を批判してみる
クラスター、ロックダウン、オーバーシュート。
政府がカタカナ語を多用することに対して批判が集まっている。
河野大臣もこんなツイートをしている。
だが「カタカナ語を使うな」という批判は少々乱暴ではないか。
「カタカナ語を使うな」という批判の裏にあるのは「イメージしづらい」というデメリットだと思う。
だがこれは同時にメリットでもあり得る。
新しい概念を説明するときには、先入観のない言葉を冠した方が誤解が生まれにくいからだ。
逆に言えば、「新しい概念を馴染みのある日本語で表現してしまうと、誤解が生まれやすい」といえる。
ひとつ例をあげてみる。
『不潔』という医学用語を誤解する人が続出
医学用語の『不潔』をめぐるゴタゴタは記憶に新しい。
医療現場では『滅菌や消毒のされていない状態』のことを『不潔』と呼ぶが、これを一般用語として解釈して誤解をしてしまう人が続出した。
研究者である茂木健一郎氏ですらこんなツイートをしている。
新しい概念を馴染みのある日本語で表現してしまうと、誤解が生まれるのだ。
それならば、初めから聞いたことのないカタカナ語を使って説明してしまおう、となるのは合理的な選択なのではないか。
そうは言っても、カタカナ語が増えていくことに抵抗を感じるのもわかる。
そこで、世界に目を向けてみよう。
本気でカタカナ語をなくしたいならフランスを見習おう
フランスでは、英語からの借用語をなくそうとする動きが活発だ。
「アカデミー・フランセーズ」という専門の機関も存在し、国を上げて英語の侵入を防ごうとしている。
2003年にフランス政府は「e-mail」という用語の廃止を決めた。
代わりに、郵便物を表す「courrier」にエレクトリックの「el」をくっつけた「courriel(クーリエル)」という新しいフランス語を作った。
他にも「ソフトウェア」は「logiciel(ロジシエル)」、「ウォークマン」は「Baladeur(バラディ)」に置き換えられて定着している。
日本でも、本気でカタカナ語をなくしたいなら、このくらいの本気さが必要だと思う。
すべてを漢字で表現しないといけない中国語の不便さ
フランスの熱意には脱帽だが、一方で中国語はどうか。
中国語はすべての外来語を漢字に置き換える必要がある。
新型コロナウイルスは「新冠病毒」、PCR検査は「核酸检测」、エアロゾル感染は「气溶胶传播」だ。
人名も例外ではない。
ドナルド・トランプは「唐纳德・特朗普」、バラク・オバマは「巴拉克·奥巴马」になる。
どうやら変換の規則性は無いらしく、メディアによって激しく表記ゆれが起こるらしい。
これはこれで大変そうだ。
結論:カタカナを使えることは日本語の大きなメリットだ。上手に活用していこう。
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