コミュニティって何なの？

ここ数年、コミュニティマネジメントという言葉が当たり前になり、自社サービスのファンコミュニティを作って、そこに向けたマーケティングを行う企業が増えてきました。

このnoteをご覧いただいているということは、なんらかのサービスのコミュニティマネジメントに携わっている人、またはこれから携わる予定の人が多いのではないかと思います。

私は約10年ほど前から、WEBサービスに紐づく女子高生コミュニティ・スマホゲームのコミュニティ・ネイルアプリのコミュニティや飲食店のコミュニティマネジメントを行ってきました。この経験がみなさまに少しでもお役に立てれば幸いです。

ここでは、コミュニティマネジメントの初心者の方向けに、「そもそもコミュニティって何？」「ファンコミュニティができるとどういいの？」という基本的な疑問にこたえつつ、「結局コミュニティマネジメントってどうやるの？」というノウハウの部分までお伝えできればと思います（ノウハウについては次回）。

1.コミュニティって何？

コミュニティと聞くと、なんとなく「人の集まり」をイメージされるのではないでしょうか。日本では特に地域社会を指すことが多かったのが、最近ではインターネット上の繋がりやサービスを通じて知り合ったファンの集まりも意味するようになりました。

人々が共同体意識を持って共同生活を営む一定の地域、およびその人々の集団。地域社会。共同体。転じて、インターネット上で、共通の関心をもちメッセージのやりとりを行う人々の集まり。
※大辞林 第三版より

一般的に企業が使う「コミュニティ」とは、自社とユーザーとの関係性だけでなく、ユーザー同士の繋がりや関係を内包しています。

ここで私が使用する「コミュニティ」は、「企業とその企業（サービスやプロダクト）のユーザー同士のコミュニティ」を指してお話していきたいと思います。下図でいうn対nのコミュニティです。

ちなみにコミュニティリーダーとは、そのコミュニティにおけるHubの役割を果たす人物のことを言います。1対nのコミュニティの場合は、大抵コミュニティマネージャーとコミュニティリーダーが同じ場合が多く、その人物がいないと他の人たちの関係性が保てないことが多いです。

n対nのコミュニティの場合、コミュニティマネージャーはその外側にいて、全体を見る役割を担っています。n対nのコミュニティにはコミュニティリーダーが何人も存在し、ユーザー同士の関係性は複雑に絡み合っています。

2.コミュニティマネジメントとは？

コミュニティマネジメントに似た言葉のに下記の二つがあります。
・コミュニティ（ファン）マーケティング
・SNSマーケティング

コミュニティマネジメントとの違いをご存知ですか？
コミュニティマーケティングは、既存のコミュニティの動向やファン同士の繋がり、口コミをマーケティングに活用することを指します。
SNSマーケティングは、上図でいうと1対nのコミュニケーションに近く、企業とユーザーの双方向のやりとりが可能にはなりましたが、ユーザー同士のコミュニティが形成されているわけではありません（稀にありますが）。

一方、コミュニティマネジメントとは、ユーザー同士の繋がりを強化したり、ユーザー同士の新しい関係を築くきっかけ作りをしたりと組織マネジメントに近い動きになります。

でも次に疑問になるのは、「コミュニティマネジメントのゴールは何？」「何のためにユーザー同士の関係性を強める必要があるのか？」ということ。

3.コミュニティマネジメントが注目されるようになったわけ

SNSの発展により、個人の発信力が高まり口コミの重要度が増してきました。従来のマーケティング手法より、そのサービスを実際に利用し、楽しんでいる人が可視化され、サービスの認知や購買に影響を与えるようになってきています。※下図参照

つまりすでにそのサービスを利用している人たちのコミュニティが強固になればなるほど、そのコミュニティ外への影響力も高まり（新規獲得）、コミュニティに所属している人たちのLTV（顧客生涯価値）が上がることに企業が気づき始めました。

最近では、様々な業界でサブスクリプション化が進み、企業にとってユーザーとの長期的な関係を築くことが必要になりコミュニティマネジメントが注目されるようになりました。

ビジネスを発展させるためには、ユーザー同士の繋がりを強固にし、人との繋がりをきっかけにサービスを長く愛し、利用してもらうコミュニティマネジメントが必須というわけです。

4.コミュニティマネジメントという職種について

サービスやプロダクトに紐づいたコミュニティマネジメントは、そのコミュニティの盛り上がりによってサービス自体が盛り上がっていくだけでなく、そのサービスを越えて生まれる人間ドラマや人の人生を変える瞬間に立ち会うことができる素敵な職業です。

これまでいくつものコミュニティマネジメントを経験してきましたが、一サービスのコミュニティに所属したことで、マスクを外して外出できなかった女子高生が素顔で堂々と外に出られるようになったり、サービスを通じて一生涯の友人に出会えた人や、ソーシャルゲームのイベントで出会って結婚する人がいたりと色んなドラマを見てきました。

単にマーケティングの手法としてコミュニティマネジメントを捉えるのではなく、一つのサービスのコミュニティを通じてそれぞれの人が生き生きと活躍できる社会を作れるコミュニティマネージャーの方がたくさん増えるといいなと思っています。