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ほっとパル緊急企画〈健康編③〉

※この記事は、長野市と長野市周辺に133,140部発行しているフリーペーパー『Hotpal~健康かぞくのまち~』5月号に掲載された記事の続編です。

新型コロナウイルス(COVID-19)対策   免疫を上げる腸のしくみ

腸のはたらきが免疫に直接作用することは様々なメディアで紹介されているのでご存知の皆さんも多いことでしょう。私たちの体の細胞数は若い時で60兆ほどですが、腸内には100兆以上の細菌がいます。私たちはこんなにたくさんの細菌たちと共に生きているのです。最新の科学ではこれらの細菌が腸内の神経受容体に働きかけて情報を交換し、細菌が作り出す物質で自分たちが住みやすい環境に整えるように脳をコントロールすることまでわかってきました。どのようにすれば細菌に支配されない健全な腸を作れるのでしょうか。

腸内細菌

1.まず軟便や便秘は改善させること
その原因を治して改善させる取り組みが必要です。
軟便や便秘の原因は多彩なので全てをここで記載することはできませんが、軟便は「何気ない普段のたべもの」による遅延型アレルギー(※)としての炎症の場合が多く、グルテンやカゼイン(後述)がその筆頭にあげられます。腸内細菌の悪玉菌といわれるものが全て不要なものではありません。そのバランスが大切なのです。しかし、エンドトキシン(※)などの毒素を産生する細菌もあり、便の臭いや状態(色や形状)はとても大切な情報です。大便は体からの「大きな便り」と言えますね。

2.甘いものは危険なことが多い ※甘いものへの欲求の強いは特に注意
腸内にカンジタ属の真菌(カビ)が多い人は真菌が産生する物質の影響で甘いものへの欲求が強くなることがあります。これらが増えると免疫力を低下させます。この菌はどんな方にも少しは存在しますが、女性で膣カンジタになった経験のある方は腸内のカンジタ属が多い傾向があるので特に注意が必要です。
甘いものと発酵食品はカンジタが増殖しやすい食品ですが、発酵食品は体に良い効果もあるので、心配ならばこれらを理解している医師に相談するとよいでしょう。

甘いもの


3.グルテンの問題
最近では市販でもグルテンフリーの製品が少しずつ増えてきました。小麦粉に含まれるグルテンは腸に直接障害をもたらすことがわかっています。遅延型アレルギーとしての症状で、その程度には個人差もありますが、リーキーガット症候群という腸の慢性炎症を引き起こすことがあります。これにより炎症産生物質がそれ以外の部分の炎症を引き起こします。症状は軟便・肌荒れ・頭のもやもや感・うつ症状・多動症・自閉症など症状は多彩です。控えめにしたほうが安全です。

4.カゼインの問題 
カゼインは乳製品中のタンパク質のことです。豆乳は問題ありません。バターも油なので問題ないとされています。グルテン同様に腸に炎症を及ぼすことが多い食材で、「乳製品を摂ると便の調子が良い」と感じている方は特に注意が必要です。便秘が改善しているのではなく、腸の炎症で便がゆるくなっている可能性が高いからです。

5.過食を控える
生きてゆくのに必要な栄養素とカロリーを超えて食べることは腸には負担になります。消化機能や吸収機能には個人差があり、ひと昔前は「腹八分目は医者いらず」といいました。現代では「腹六分目」くらいがちょうど良いとする考えもあります。

おなか

6.楽しく、穏やかに過ごす
ほっとパル緊急企画〈健康編②〉でも触れましたが思考は「腸脳相関」といって、瞬時に腸の機能に影響を及ぼします。ストレスを抱え込まないように過ごし、食事は楽しく摂りましょう。

免疫を上げる生活習慣の予防10ヶ条
①質の良い十分な睡眠をとる
②便通はかならず快調にさせる
③過食は控える
④加工食品はなるべく口にしない
⑤安易に健康食品に頼らない
⑥安全な発酵製品をまめに摂る
⑦体を冷やさない
⑧タバコ・アルコールは控える
⑨電子通信機器を長時間使用しない
⑩穏やかに過ごす                          何より生活習慣の見直しです!養生とは何か学びましょう!

中野市 たかはしクリニック 医学博士 高橋 嗣明院長 


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