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ヴィヤーサとナーラダ:神聖な対話と音色で紡ぐ智慧のひととき

第一巻第六話 ヴィヤーサと神仙ナーラダの会話(後)

吟誦詩人ウグラシュラバスは言った。「シャウナカよ、神仙ナーラダの前世と修行について聞いたヴィヤーサは、次のように質問しました。『五歳で宗教的智慧を得たあなたは、その後の人生をどう生き、死の時にいかに肉体を捨てたのですか?なぜ前世の記憶を失わなかったのですか?』」

神仙ナーラダは語りました。「母は無学で、私は彼女の唯一の子どもでした。母は私を溺愛し、私も母に頼りきりでした。ある夜、母が牛乳を搾りに出かけた際、蛇に噛まれて命を落としました。私はこれを主の恩寵(母への執着を断ち切り霊的な修行に集中できる)と受け止め、北の方へ旅立ちました。」

一人で旅を続け、やがて疲れ果ててピパラの樹(菩提樹)の根元に座り、心に住む主を瞑想しました。主の蓮華の御足を思うと愛の気持ちに圧倒され、とめどなく涙が流れました。その瞬間、主が心に顕れ、深い喜びと平安に包まれた私は、自分と知覚の対象に対する意識を全て失ってしまいました(至高の神との一体感を経験した)。しかし、主の姿が消えたことに困惑し、もう一度見ようと心を集中しましたが叶いませんでした。すると、主は慰める様に優しく語りかけました。「今生ではもう私の姿を見ることはできないだろう。なぜなら、心の穢れを完全に取り除き、バクティを完成させない限り、私を視ることはできないのだ。
ただ一度だけ姿を顕したのは、あなたの中に、私を見たいという燃えるような願いを生じさせるためです。私を見たいと願う者は、徐々に、そして完全に、心に潜む欲望を捨てなければなりません。ヨギーたちの世話をした短い期間に、あなたは私への揺るぎない思いを持つことができました。今生でその肉体を捨て去った後、必ずや私の従者としての地位を手にするでしょう。私の慈悲によって、私への思いは決して消えることがないでしょう。」
この様に語った後に、目で見ることが出来ない、空気の様に遍満する方は話すのを止められた。そして主の素晴らしい慈悲を知った私は、偉大な中でも最も偉大なる主に頭を下げました。その後、主の偉業に心を集中し、全ての渇望を捨て、虚栄と妬みを放棄し、自らに満足し、死の時が来るまで世界を巡って過ごしました。

心が浄化された私に、定められた死は突然訪れました。主の従者として非物質的な身体に移行する時、私の物質的な身体はプラーラブダ(現世で影響を及ぼすカルマ)によって朽ち果てました。
以前のカルパ(宇宙の誕生と消滅のサイクル)の終わり、主ナーラーヤナが全てを吸収し、宇宙を沈めた水の上で眠りにつきました。ブラフマー神も主の中で眠り、私もまた、主の吸気とともに彼の身体に吸収されました。四つのユガが巡り、ブラフマー神が目覚め、再び世界を創造しようとした時、彼は自身の意識からマリーチら聖仙と共に私を生み出しました。

神を忘れないと誓い、ナーラーヤナの恩寵により、私は自由に三界(物質的な現象が支配する世界,霊的な力を持つものの世界,神々や高次な霊的存在が住む世界)を行き来するようになりました。主から授けられたヴィーナーでブラフマンを表す7つの音(オームなど)を奏で、主の物語を歌いながら宇宙を巡ります。主の偉業を歌うと、まるで召喚されたように主が私の心に顕れます。欲望や貪欲に動かされる心は、自己抑制のヨーガよりも、主クリシュナの崇拝によってこそ平安を得ることができるのです。
「ヴィヤーサよ、私の誕生の秘密、行った修行、そしてあなたの魂を満足させる方法を語りました。」

吟誦詩人は語った。「達成しなければならない目的をもはや持たず、不幸に満ちたこの世界に喜びをもたらす神仙ナーラダは、こうしてヴィヤーサに語り終えると、ヴィーナーを奏でながら静かにその場を去っていきました。」

※※※
なるほど、「三界」って実は天国、地上、地獄の三点セットじゃなかったんだね!地上(ブー・ローカ)の上には、精霊や霊たちの社交場(ブヴァー・ローカ)があって、そのさらに上には、神々のVIPルーム(スヴァー・ローカ)が控えてるんだ。そして、これら三つの世界、実はまだこの物質的な宇宙の一部に過ぎないってことらしい。
で、解脱とか神様との合一を目指す猛者たちは、さらに三界のその上を目指すってわけ。
え?どれだけの人生を費やせば、その上の世界(マハー・ローカ)に到達できるんだって?う〜ん‥
ナイショの話だけど、さらにその上には、「ヴァイクンタ」っていうヴィシュヌとの永遠のシャンティー(安らぎ)満載な世界があって、そこでずーっと一緒に過ごせるんだよ。
まさにゴールオブゴールズ!

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