チャトリと日本人

コロナは格闘技イベントに多大な影響を与えている。

日本のみならず、世界の格闘業界は大打撃を喰らうと見られた。

しかし実際には多くのイベントが存続している。

実は世界的に株価は上昇し、富豪の資産は増えている。

配信状況が整った今日、放送やコンテンツ配信の手段はいくらでもあるので、無観客でも行える格闘技にはそれほど影響がないと言える。

ONEChampionship(以下ONE)も例外ではない。

ONEもイベント数は減少しているが、放映権料が見込める大きな大会は行われている。しかしAbemaTVがいるにも関わらず、日本は冷遇されているように見える。なぜなのだろう。

推察になるが、チャトリは日本人に幻滅したのではないだろうか。

人を見る時に重要なのは、その人の人格はその人の時間軸だけで形成されたものではないこと。

両親や祖父母の時代まで遡ると、思考の原点がよく理解出来ることが多い。

自分や最もよく観察できる妻などを見ても、ほぼ正確に理解できる。

チャトリに関してのデータは多くないが、よく知られているところでは母親が日本人であること。これは彼のアイデンティティに多大な影響を与えている事が容易に想像できる。チャトリの第一印象は、日本の古き良き時代の侠や漢に畏敬の念を持っているように見えた。

外国人が日本に持つ、空手や柔道などの武道のイメージと同じものだ。

チャトリは自分にも母からのその血が流れている事に誇りを見出そうとしていたのではないだろうか。おそらくその血によって若き日はさんざん苦労した事も想像できる。

そして財を築き、自分の誇りを具現化する為にアジアで格闘技イベントを興した。世界の中のアジア、アジアの中のタイや日本を、自己のアイデンティティの証明の為に。

チャトリの母と同郷のよしみで柔道出身の青木と蜜月の時代もあった。それが現在では試合を組まない、邪魔者のように扱う。青木のみならず日本人の試合が組まれない。まるで彼らの好物が金である事を見透かしたように。

チャトリの日本離れは彼の古い日本人観と現在の日本人の乖離が彼を絶望させたのが理由ではないかと考えている。結局彼自身も半分日本人であるが故にエコノミックアニマルであそこまで成功した。

一時は古き良き時代の日本人の血が流れている事に喜びを見出すも、金の為ならプロレスでも何でもやる、礼儀を知らずリングで踊り出す現在の日本人に自分のアイデンティティが崩壊するのを感じたのではないか。

チャトリの好みを鋭く洞察している選手にV.V.メイがいる。彼女は伝統的な空手を外国人が持つ日本のイメージと合致するようにセルフ・プロデュースしている。正座をして礼を重んじる。努力してネイティブ並みの英語を習得し、解説などにも起用されるクレバーさを備え、チャトリの好みを捉えまくっている。

それに対して勝利の喜びを露骨に走り回って躍る平田樹は冷遇されているように見える。リングで訳のわからない独りよがりをプロレスのように口走り、日本人にも嫌われている青木も。青木はどこかで経済的にはゴールに達したと宣言していた。それと同時にチャトリへの忖度をやめ、今度はAbemaTVや幻冬舎に媚を売り始めた。RIZINにも色気を見せている。期を同じくしてAbemaTVのプロデューサーがONEへの不満を漏らし始めた。

選手は考えどころである。金の切れ目が縁の切れ目にならぬよう、外国人にも日本人からも尊敬される選手像を目指して欲しい。もちろんそれが演出でない事が望ましいけど。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?