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母に感謝する日

今日は、母が私を産んでくれた日だ。

私の出産予定日は7月の上旬だったらしい。

少し日本語がおかしい気がする。
私は別に私を出産しないし、私の出産予定日というのは自分で書いてて違和感がある。なんだか気持ちが悪い。

もう少しちゃんと説明すると、計算上、私が母のお腹から出てくる予定だった日は、7月の上旬だったらしい。

うん。そゆこと。

しかし、その予定日を過ぎても、私は母のお腹から出てくることはなかった。

一週間を過ぎても、10日を過ぎても産まれてくる気配がない。
一ヶ月も遅れている。

先生が予定日を間違ったのでは?
と、母は先生を疑った。

確認をしてもらったものの、予定日は間違っていないとのこと。

私は一向に母の腹から出てくる様子がなかったらしく、母は毎日毎日、病院に行ったそうだ。

その年は冷夏で、雨ばかりがしとしとと降り続いた。
そんな中、産まれてこない私のために、バルーンを使ったりあらゆる手法を使って分娩を試みたそうだ。

そして、そんな毎日が続いた後、珍しく晴れた日。
私が産まれてきた。

その話を聞いて、もう43年も前のことだし、やっぱり予定日が間違ってたんじゃないの?
と私も母同様、先生を疑った。

しかし、調べてみると過期産というものがあるらしい。

母が私を出産する際、羊水が悪くなっていたということで、実際に予定日より遅れてきたことに、間違いはなさそうだ。

過期産は母体にもかなり負担が大きいらしく、今さらながら母も私も元気でよかったと思う。

母はこの話をする時、私のことをのんびり屋さんだったんだろうね、なんて言う。
そして、母の誕生日を過ぎて私が生まれてきたせいで、一才、歳を食って産んだことが残念だと言っていた。
母の誕生日は私の誕生日の3日前の8月9日だからだ。

そりゃそうだよね。
一ヶ月も遅れてくるなんて、誰も思わないもんね。

私だって同じ立場だったら、文句を言うよ。

ありがとう。
オツカレサマでした。



予定日よりも一ヶ月遅れで生まれてきたことを聞く度に、私は自分の誕生日が好きになる。

なんだか、自分で誕生日を選んだような気がしてくるからだ。


晴れの日を、8月12日を選んで。


誕生日なんて、選ぶ意味があるのかないのかわからないけれど、
それ一つで、占いが変わったりするから面白い。

こんな人生を生きたいと、
自分で誕生日を選んで生まれてくることができるなら、
そんな面白い話ないからね。

まあ、そんなことは誰にもわかりっこないから、考えたって仕方のないことだけど。
そういう話にロマンを抱くのも、誕生日という特別な一日がなせる技かもしれない。


猿荻レオンという名前は、お気付きの方もいらっしゃるかもしれないが、本名ではない。
申年生まれで獅子座ということで自分で命名した。

絶対に自分の中で変化しないもの。
そして、私が気に入っているもの。

もし、私が予定日どおり生まれていたら、かに座だった。

猿荻キャンサーになっていたかもしれない。

何だか心を蝕むような、毒にしかならなさそうなエッセイを書く人になりそうだな。

ひぃぃぃ。怖い怖い。

やっぱり遅れて生まれてきてよかった。
のんびり屋さんでよかった。


とにかく、お母さんありがとう。
私は今日も元気です。




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