ババサマの認知症のはじまり

もう、11年ぐらい前だろうか。
ババサマの認知症は突然始まった。

当時、存命中の祖父が外からインフルエンザを持ち込んだ。

それはもれなく、ババサマにも感染し
高熱になったババサマは、タミフルを処方された。

インフルエンザの高熱のせいなのか
タミフルのせいなのかは、わからない。

22時過ぎに母からババサマの様子がおかしいから見に来てくれと言われた。

私は徒歩3分の所に住んでいたので、すぐ向かった。

身長推定142cmほど、体重35キロぐらいのババサマは、
ぶつぶつと呟きながら、包丁を握りしめていた。

意味がわからない。

インフルエンザに罹患した患者が
包丁を握りしめて自分の腹に当てようとしているのだ。

話を聞くと、

「悪魔が身体に入ってきたから
それを殺そうと思っている!!」

とのことだった。
全く意味がわからない。

とりあえず、包丁を取り上げ、落ち着くように話しかける。

ババサマは私たちの目の前で、大きい目をギョロリとさせ、声を荒げる。

「グハハハハ
この身体は、オレがもらった!」

思いがけない言葉に、
思わず、厨二病を思い出した。
しかし相手は80歳のばあさんだ。

この日からババサマは、ちょっと変わった認知症になったのだ。

ついで祖父も認知症に。

当時、同居していた母にとっては、
両親揃って認知症になったのだ。

遅咲き過ぎるババサマの厨二病的認知症に
恐れおののく私。

とりあえず、ババサマを見張る日々が続いたのだった。






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