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《鼠小僧次郎吉》感想① 菊丈のオイシイ場がド真ん前だった有難みと坂亀丈の亀丈らしさ

2022年2月歌舞伎座公演の初日に行ってまいりました。

以下、演出バレ含みますのでご注意ください。

1階なら5~7列目が観やすいよ、と経験豊富な先輩方の親切丁寧なアドバイスを戴きまして、列は10番、下手花道右ブロック2つ内側に座って初日観ました。

凄かったよ……10番の席て目の前やん、
菊丈が突如剥き出しの白い腕突き出して菰バンッてまくり上げて駕籠からご登場なさるのも、
その後天水桶の陰(※舞台上の人物から隠れてるだけであって下手の客の目からはちっとも隠れてない)で黒衣さんも無しに帯咥えてお一人きりで首肩腕をまるだしにしつつお着替えされたのも(※首の詰まった黒の腹掛けをご着用あそばされてるのでお胸と下肢は露出しない  そのぶん肩腕のすべっこさ白さが鮮やかに目を打って網膜に焼きついた  こないだの白神山地の特番のお風呂場面を見てなかったら心臓発作でしんでたかもしれない)
ほんとに真ッ正面ド真ん前じゃないですか!!!!!

※後の雀右衛門丈松山(幸蔵が置いてきた女房)の見せ場も眼前です

い~~いお席でした……オススメです 10番コース

坂東亀蔵丈が…役名からして町人かな、今回は眉間のひらいたお役かなって(※わたし舞台で認識した亀蔵丈の最初のお役が《四天王御江戸鏑》の "はらぶとの福" なんですよ  すごく好きなんですよ亀蔵丈の "庶民の" お顔!!)思ってたんですがどんなキャラなのか知らんで赴いて 花道の出のときに、シャリンて聞こえて即振り返った(※全てのシャリンに即振り返った)んだけども出てらしたのが亀蔵丈だと認識したときに脳と体が連動しなくて数秒ぽかんとしてしまって全力拍手が出来なかったのが昨夜唯一の心残りです!!!!!

このとき、出の亀蔵丈を身体ごと振り返って見たんですけどね、後で花道振り返り直したら後方の席のお客さんが二人視界に入るんですね、
でも出の瞬間の記憶に入ってないんですよ、そのお客さんの姿が。
光で白くなった花道と半身が眩しく浮かび上がった、背に四角い荷物担いで手に小魚提げた町人姿の亀蔵丈だけなんですよ
ナチュラルフォトショ機能  都合がいい脳みそ

でその亀蔵丈がね、いいこなんですね…前髪こそ落としてるけどせいぜい大学生くらいのね、大人っていうにはまだ青いような年頃でね。おとなしくって老父にも女の子にも優しくて控えめでね………
ぴったりやんかーーーい!!!! ぴったりすぎて…もっと…もっとこう…前に出てきていいんだよ!!!?!?!?(滾るフラストレーション)

この、万事脇で控えてるよーな若者世之介くんが、三十路に入ったばっかりくらいの色男・鼠小僧こと稲葉幸蔵の実弟であり、その父親・辻番の下級武士与惣兵衛が盗人の相を絶つため捨てた長男と二親を同じくする兄弟なわけですが、兄と分かるなり「あにさん!」と泣き濡れる素直な弟(グゥッ……/洩れだしそうな声を押し吞む音)でありながら、花道でお客の涙を振り絞る熱演を見せた歌六丈に比べると、泣きもあっさりと小きれいに淡泊で、

その淡泊さが!!脇で同じように咽び泣いたらお客の気が散るからと、歌六丈に一極集中させるために我が身の存在感を限界まで消す音羽屋さんの "わきまえた" お家芸なのでは!!? 半透明のレイヤー1枚かけて視覚情報を薄くするみたいに! 内面に薄紙巻いてその奥の心情をボヤかしてあんまし生々しくならないようにするみたいに!! くぁぁぁぁぁお達者!!!! ご立派!!!! だけど観たい!!!!渾身の!!出張ってくる!!亀丈がわしゃぁ拝んでみたい!!!!!!!!!
せやけどおうちの美徳と違いますんやろな…… それは仕方がない……無いものはねだれない……有るものを満身で受け取ります……(ベロベロベロ)


以上 ① おわる

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