そんなんじゃないよ。
居酒屋で二人の男女が話をしている。
女が、そんなんじゃないよ、と言う。
私、そんなにいい子じゃないよ。
あなたが思ってる"私"は私じゃない。
あなたの思う"私"はあなたの中の理想の私でしょ。
こうあって欲しい。
"私"はそれを叶えたいだけ。
それに忠実でありたいだけ。
だってそしたらずっと側に居てくれるんでしょ?
でももし、あなたの理想の"私"が"本当の私"の姿になった時あなたはどう思うのだろう。
そんなこと、想像したくもない。
だってあなたが遠くに行ってしまう気がするから。
でも、少し疲れたかも。
私じゃない"私"を演じるのに疲れた。
もういいかな。
私はこの役を降りてもいいかな?
いいよ。
そう、言いながらあなたは笑う。
だって"僕"は僕じゃない。
君の理想が作り上げた僕なのだから。
僕も、そんなんじゃないよ。
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