国際機関の筆記試験で失敗した話

こんにちは、理事の畠山です。

三寒四温といいますが、ここミシガンではこれが三雪四花粉症と非常につらい季節です。花粉症の薬を飲めばまだなんとか生活できますが、薬を飲まないと夜も眠れない状態になります。

つい先日、身の毛もよだつ恐ろしいことがありました。デッドリフトをジムでバチバチに決めた後、帰宅して少し昼寝をしたら、膝に水が溜まってボンボンに腫れてほぼ歩けない状況になっていました。さらに悪い事に、同じタイミングで親知らずも腫れて、歯茎がジンジンと痛んで何も食べられない状況に陥りました。複数の薬を併せて飲むのは良くないと思うのですが、このような状況の時に、花粉症の薬・膝の炎症を抑える薬・歯茎痛を抑える薬、一体どれを飲めばよいのでしょうか?

マイナスにマイナスをかけるとプラスになるので、ここは敢えて何も飲まずに行けば逆に行けるんじゃないかと判断して、それを実行した所、なんと予想に反して、一睡もできませんでした苦笑。

そして、朝になり、とある国際機関のポストの筆記試験を受ける時間になりました。当然一睡もできていないし、膝も歯茎も痛いし、花粉症でまともに頭も回らないしと最悪のコンディションなので上手く行くはずが…で終わると、そんなくだらないことを報告するために記事を書いたのか!?とお叱りの声が聞こえてきそうです。確かに失敗はしてしまったのですが、若かりし頃は金曜の夜に雀荘に行って月曜の始発まで打ち続けていた私ですから、一睡もできなかったとかコンディションが悪いとか、その程度のものには打ちのめされません。筆記試験の内容はバラしてはいけないので内容は書きませんが、ある比較的汎用性がある、しかし全く準備をしていなかったフォーマットに全く対応できず失敗してしまいました。試験の中身ではなく、こういうフォーマットがありえて事前にこういう準備をしうるというのは問題が無い範囲だと思うので、今回は、国際機関で教育関係のポストを探しているなら、私が失敗したので筆記試験対策としてこれを事前にやっておくと良いかもね、というのを書いておこうと思います。

1. 国際機関の就活の簡単なおさらい

空席公募に応募するようになる前に、JPOを経由する事が多いのかなと思いますが、JPOについては大学院選びから専攻プロセス迄全てを網羅した「国連JPOへ向けた虎の巻」と、2020年に合格した伊藤理事が執筆してくれた最近の事情が分かる「JPO合格者が語る!JPO2020受験談」があるので、ぜひそちらを参考にしてみて下さい。

宣伝はさておき、空席公募に出すためには、まず空席を探す必要があります。空席を探すには、各国際機関のキャリアページに行って、教育分野でフィルターをかけて探す事になります(ユニセフだとココ、ユネスコならコレ、世界銀行とGlobal Partnership for Educationだとココ)。いちいち各機関のページに行くのはめんどくさいよー、という人は、外務省国際機関人事センターの空席情報ページへ行って、教育で検索をかけると良いと思います。これの欠点は、コンサルタントのポストは表示されない点ですが。

自分の経験年数とポストのレベルが大体合っている&自分の得意分野と大きくかけ離れていないor募集が掛かっているポストが現場の何でも屋っぽいもの、にはどんどん出していきましょう。逆に言うと、どちらかが外れていると面接に呼ばれる事すらなかったので、時間を節約するために出さないでおくのも一つの手かもしれません。

基本的な応募書類は、カバーレターと履歴書で、前者については「国際機関から内定を貰える英文カバーレターの書き方」という記事を書いたので参考にしてみて下さい。履歴書の書き方については・・・需要があれば時間を見つけていつか書きます、需要があれば。

そして、数百人ぐらいの応募者の中から10人前後がショートリストされて筆記試験を受けて、そこから3-5人が面接に呼ばれるのが一般的です。しかし、筆記試験があったりなかったり、筆記試験と面接が同時だったり、呼ばれる人数が大幅に多い・少なかったりと、ポストによって結構違いはあります。

2. 筆記試験について

筆記試験って難しいんじゃないの?と思う人がいるかもしれませんが、割と簡単です、嘘じゃないです。これまで20弱ぐらい筆記試験を受けましたが、これは解けない・分からんわ…、という問題には一度も出くわしたことがありませんし、実際に筆記単独で落とされたのは、私の記憶が合っていれば一度もありません。

ゴリゴリにデータを分析するようなポストであっても、事前にSTATAのdo fileか、Rのtranscriptの提出が求められたり、writing sampleで実力が分かるようなものの提出が求められるので、筆記試験でのデータ分析も超簡単なものに留まります。基本はエクセルしか使いませんし、内容については、Global Partnership for Educationが出している、Methodological Guidelines for Education Sector Analysisをしっかりと読んで理解して、自分で問題を作って解いてみれば絶対に解けるレベルのものしか出ません。そんな分厚い本読むのめんどくさいよーという人は回れ右して出直せ、と言いたい所ですが、弱小NGOサルタックは資金源を何とかしないといけないので、私の博論と就活が終わって時間が出来たら、参加費全額活動費に回させて頂く形で、遠隔トレーニングを始めようと思うので、受けてみたい人はお楽しみに。

そのような感じなので、筆記試験でのデータ分析については全く心配する必要がありません。しかし、データ分析が伴わないパートについてはちょっと大変な印象があります。何が大変かというと、ノンネイティブにとっては読むand/or書く量が多過ぎて時間切れになる・時間ギリギリという事が大半・・・、というよりも時間に余裕をもって回答しきれた事が一度もありません。

サルタックのインターンにも、イギリスやアメリカの一年修士は勉強が大変なわけではなく、新しい環境に行って、ノンネイティブがネイティブと同じ量を読んで書いて、就活をすることが一年の間に詰め込まれてしまうからこそ大変なだけなので、留学が決まったら死ぬ程英語を読んで書けとアドバイスしていますが、国際機関の筆記試験についても全く同じ事が当てはまります。普段から時間制限をかけて読む・書くという鍛錬を積んでおくと良いでしょう。

ここで感の良い人は、ひょっとして畠山がツイッターで英語の記事をよく呟いているのはもしや・・・と思ったかもしれませんが正にその通りで、論文を時間を決めて読む事をしたくないので、New York Timesとかの記事を制限時間を決めて読むという筆記試験対策をしていて、それの残骸を呟いているわけです。

3. 私が失敗した話

データ分析なんて超簡単&普段からNYTなどで練習しているのに、何を筆記試験で失敗する事があるんだと思われるかもしれませんし、事実私もそう思っていましたが、一つ落とし穴がありました。

データ分析の問題というのは、ワードファイルに書かれた問題と、エクセルファイル入ったデータが送られてくるケースが大半です。しかし、極々稀に、筆記試験に呼び出された国際機関のデータベースや文章を参照する問題も出されます。

データベースに関して言えば、世界銀行には世界銀行のデータベースであるWorld Bank Open Dataがありますし、OECDにはOECD Dataがありますし、ユニセフにはChild Statisticsがありますし、ユネスコはユネスコ統計研究所がデータベースを持っています。

国際機関ごとにデータベースがあるなら、例えばネパールの初等教育の就学率が見たいときは、どれを見ればよいの?と思うのが普通だと思います。答えを先に言うと、用法容量に拠るです。

教育系のデータは、行政のadministrative data or EMISと家計調査の二つにデータソースを分ける事が出来ます。各国政府は定められた行政データをユネスコに提出し、ユネスコ統計研究所はそれをチェックしてデータベースにアップロードし、それを世界銀行にシェアしています。なので、基本的にはユネスコと世界銀行の教育データは同じ値になっているはずです。しかし、若干の違いもあります。例えば、ある途上国政府がデータは持っているもののそれをユネスコに報告しておらず、しかし世界銀行のその国の事務所はそれを把握している場合、世界銀行のデータベースはそれを独自に補ったりしているので、ユネスコと異なるデータ・データポイントが存在する場合があったりします。ユニセフのデータベースは専ら家計調査に頼っていて、世界銀行やユネスコとはデータソースが異なっているので、当然に異なる値が出てきます。

行政データと家計調査データで値が大きく異なっている場合、どちらの値を使えばよいのかという問題が出てきますが、これについては用法容量によるとしか言いようがありません。それぞれのデータの特徴を理解すれば、どちらを使用すべきか自分で判断できるようになるので、勉強を頑張ってください。そんな勉強めんどくさいよーという人は回れ右して出直せと言いたい所ですが、弱小NGOサルタック(略)そのうち私が遠隔トレーニングをしますので、首を長くしてお待ちください。

さてさて、話を戻しますと、各国際機関は独自のデータベースを持っているということは、データの値が違う事があるだけでなく、

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