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JPO期間中に出産出来るのか。

というご相談をよく頂ことがあります。ここでは、私イトウネシア自らの経験に基づいてJPO期間中の出産体験記としてお話ししてみようと思います。

JPO期間中に出産は出来るのか。

回答は、イエス、勿論出来ます。出産は個人の権利であり、それはJPOだからといって妨げられるべきものではありません。そうは言っても、実際取得にはハードルが高いのではないか、キャリアへの影響は無いのか、送り出してもらっている日本政府は納得してくれるのか、パートナーとの関係や自分が置かれているあらゆる状況を総体的に考慮して今が出産にベストなタイミングなのか、、等々悩みは尽きないですよね。

私も悩みがなかったのか、と言われたら勿論悩みました。が、そもそもまず妊娠出来るかどうかは自分のコントロール外な部分も多く、全て計画通りにいく訳ではありません。なので、子どもが欲しいと思うのなら、とりあえずそれに向けて行動しておく、ということが個人的には良いのではないかと思います。特に女性の年齢に伴う体の変化は止められず、年齢が上がるにつれて妊娠や出産リスクが上がる事実は変えられません。子どもが欲しいのであればそれはそれで進めながら、JPO含め仕事の調整は状況に合わせて調整していく、いう同時進行スタイル。キャリアが一段落してから、と待ち続けいざ子どもを作ろうと思ったら、子どもを授かれる状態ではなかったなどという可能性もあります。多くのJPOも、JPOになるまでも職務経験や学を積み上げ、年齢もそれなりになり、またJPO合格後のキャリアに悩み、、などと中々タイミングを掴みづらい状況があります。また赴任地も海外途上国である可能性も高いことも含め様々な事情から、出産までのハードルが高いと感じる人も少なくないのが実情です。

私の場合も、海外生活が長く、夫と結婚してからも半分以上の期間は遠距離婚でした。子どもがいつかは欲しいなぁと漠然と思いつつ、妊活タイミングを逃し続けてきていました。そんな中、JPOに合格し、インドネシア赴任が決まったもの、コロナやビザの関係でリモートからのスタートとなり久々の日本滞在期間が出来、それをきっかけにセルフチェックも兼ねて不妊治療クリニックに行ったことが、結果的には功を奏し、妊娠に至りました。不妊治療のプロセス自体や仕事との調整も決して楽ではないですし、治療をしたからといって授かれる保証もありません。それでも、とりあえず行動してみて良かったと今では本当に思います。またその治療プロセスも当時の上司に理解し支えてもらったことは今でも本当に感謝しています。

ので、子どもを希望するのなら、今出来ることをやりながら、状況に応じて諸々調整していく、ということをやはりお勧めします。そして、いざ妊娠となった場合の流れや留意点を以下に。

産休取得プロセス、期間
実際に妊娠したら、出産予定日に合わせた産休計画を立て、上司やHRと調整し、外務省にも報告して、産休取得に向けて動くのみです。申請プロセス自体は然程大変では無かったと記憶していますし、ユニセフという機関であることからも、上司や同僚たちみんなが自分のことの様に喜び祝福してくれたのは本当に嬉しかったです。産休期間ですが、私の所属先であるユニセフは産前産後含め6ヶ月間と定められていました。これは、機関によって異なる様で4ヶ月間のところもあります。また、産休期間の給与は所属先機関から支払われ、その分JPO期間が延長されるケースもある様です。(例、4ヶ月産休取得の場合、JPO合計期間が産休含めて2年4ヶ月となる) 

出産計画
自分の赴任地の医療状況や家族のサポート体制、コロナの感染リスクなども考えながら、出産までの妊婦検診含め緊急時の医療体制、また出産をどこでするか、など考えながら計画していきました。私は、妊娠中は赴任地ジャカルタでの仕事(当時はコロナピークで幸か不幸かほぼ自宅からテレワーク)を続けながら、市内の個人で経営しているクリニックに通院しました。出産は第一子(出産プロセスを全く理解していない)且つコロナや家族のサポート体制を踏まえ、安全を取って日本で産む選択をしました。ただ、実際に受け入れてくれる病院の選択肢には限りがありました。里帰り出産、まして海外帰り(インドネシアということも敬遠されていた要因?)、そこにコロナという状況も加わり、結局キャパがある程度ある近くの大型病院以外しか選択肢はありませんでした。無痛分娩のオプションもそこでは無く、自然分娩のみ。コロナで家族立会いも不可、個室も確保不可(産後直後は大部屋で大変賑やかな睡眠環境を頂きました)といった様な制限がありましたが、安全に出産出来る環境には感謝でした。

また出産に合わせた渡航計画も重要です。病院によって最終受入の時期が異なることや、コロナ禍では検査や自宅隔離期間等もあるので余裕を持った渡航をお勧めします。何しろ、自分の体も後半戦かなりきつくなり、私は空港を歩けませんでした。高齢出産やその他出産リスクがある場合は尚更、余裕を持った計画が必要だと思います。

以上、病院探し、渡航含め出産計画を立てたら、それに伴いHRや上司に相談、産休の時期を申請、また私は日本帰国後も産休前(出産直前)まで1ヶ月強程度はリモートでの勤務許可を取り日本から働きました。

復帰計画
出産という大仕事を終え、育児という新しいステージに立ちながら、数ヶ月後には職場復帰ということになりますが、戻る前に、私は上司と復帰日時、勤務形態、仕事内容のことなどを話し合いました。上司はとても理解がある人で基本私の意向通りに調整して働いてくれれば良い、と言ってくれました。

出産前のJPO1年目はほぼ日本からもジャカルタからもテレワークだったため、少しでも長く任地で働ける様、復帰に合わせて渡航計画を立てました。実際には仕事を開始する3週間前くらいに任地入りし、日中子どもの世話をしてくれるナニーさん探しをしながら、生活環境を整えていきました。また、実際の勤務開始に備えて、色々と調整が必要です。一番は、子どもにどの様に授乳をするのかを考えることです。オフィスに授乳室があるのか(授乳室の環境は十分か、誰がどうやってオフィスに連れてくるのか)、自宅に帰るのか、母乳継続か、ミルクか。ユニセフは幸いにも子どもが2歳になるまで一日最大2時間の授乳時間が保証されていました。ただ実際には、授乳時間に割ける=仕事が減るわけではないので、そのバランスは自分で取る必要があります。私の場合は、やはり母乳継続が難しいと感じ、途中からミルクに切り替えましたが、前もった断乳計画も重要です。母親にとっても子どもにとってもすぐにミルクに切り替えられないため、段階的な断乳が必要でした。復帰直後は自宅勤務の頻度を多めにし、事務所の時はナニーさんに子どもを連れてきてもらう、などで対応していましたが細かいロジ調整や全体のリズムに慣れるまで少し時間がかかりました。

就活
出産、育児と止まりませんが、同時にJPOの使命である国連正規ポスト獲得に向けて就活も行う必要性がありました。これは私自身、正直そこまでの余裕は無かったですが、それでも空席応募への努力は出来る限りしました。周囲にも産休中も努力しているJPOママたちがいることも確かですが、苦労している印象です。

実際産休取得してみて思うこと
以上、自らの経験を基にざっと綴らせてもらいましたが、冒頭にも書いた様に、JPO期間中に産休取得は勿論可能ですが、そもそも妊娠出来るか、安全に出産出来るか、といったことは必ずしも全てコントロール出来ることではありません。そのため、いつといったタイミングも計画通りに進まないことの方が多いかもしれません。ただ、一つ言えることは、JPOだからといって子どもを諦める必要は全くないと思いますし、むしろ希望するのであれば積極的に活用すべきだと思います。それが、自分の幸せ、社会への貢献、出産を経験することで得られる新たな視点を通じた仕事への貢献などと多くのメリットがあるはずです。私の場合は妊娠からまるまるJPO期間中のケースとなりましたが、JPO開始前に出産したなど、同期にも様々なケースがありながら、それぞれ外務省や雇用機関に調整してもらいながら何とかやり繰りしている印象です。

ただ、やはり人生の大仕事である出産、また育児は本当に私も日々苦労しています。それと同時にJPO、目の前の仕事や今後のキャリア形成をしていくことは正直容易なことではないと感じています。

また、JPO期間中に産休は取得出来ても、その分がそのまま2年間という任期から引かれてしまうのは(一部機関を除き)、貴重なJPO期間から考えると惜しいことです。追加配慮、例えば、産休期間分を追加でJPO期間延長措置、男性側の育休取得推進、など制度改善されるともう少し前向きに検討出来る可能性も増えるのかなぁと思います。またオフィスにもデイケアがあると、働きやすさは断然変わると思います。

以上、自らの経験や思いを取り留めなく綴ってしまいましたが、少しでも考えている方の参考になっていると嬉しいです。

では、今日も皆さんの幸せを願って、ナマステー

驚異的なスピードで成長している0歳児

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