身分証明のコツ ~身分証明に窮した3つの経験談
こんにちは!サルタックの真衣です。日本でも新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んでいますが、香港でも現時点で3歳以上の2回目接種率は92%超、12歳以上では3回目接種率は80%超となっています。それもそのはず、香港では、既定の回数のワクチン接種を終えることで取得できるワクチンパス(QRコード)を提示できないと、レストランなどで飲食できない、図書館などの公共施設やスポーツ施設に入れない、学校での課外活動に参加できない…等々の不都合が発生します。
このルールが、9月から5歳以上11歳未満の子どもにも適用拡大されたことを受け、我が家でも子どものワクチン接種を予約しようとしたのですが、ここで、身分証明の壁に直面しました。
そういえば、と振り返ってみると、自分の名前、住所、家族関係について、うまく証明できない…と、壁に直面したことがこれまでにも何度かありました。そこで今回は、その身分証明手続きにまつわる経験を、ゆるっとご紹介したいと思います。
身分証明といった手続きは、マニュアルから外れた場合、融通が利かなくて苦労する一方で、マニュアル通りにいかない点を通り過ぎればスムーズだったりするので、これまでの経験をまとめておくことで、何かの参考になれば幸いです。もっとも、ルールは随時変更していると思われるますので、あくまで体験談としてご覧ください。
1. 姓名の証明(@日本)
まず、自分の姓名を証明するということで最初の壁に当たりました。基本的すぎて見落としていたこの壁は、結婚して配偶者の姓に変更した時に現れました。(今から思えば、予想できそうなものだという気もしますが…)
苗字が変わったので、諸々の登録を変更しないと、まず影響が大きそうなところから、と考え、銀行口座の名義を変更しようとしました。が、自分の新しい名前が証明できないのです。すぐに使わないと思って後回しになっていたパスポートも運転免許証もまだ旧姓のままで、マイナンバーカードもなかったため、生まれて初めて、自分で自分であることを証明することの難しさを経験しました。
この時、突破口となったのは、運転免許証でした。変更前の免許証と合わせて住民票を出せば、時間をおかずに姓を変更してもらえて、かつ、大体どこでも身分証明に使うことができたので、発行主体である警察の威力を感じました。(なお、銀行によっては住民票で手続きできるところもあるようです。)
ちなみに、職場では、連絡すると、さくっとシステム上も姓が変更されました。まだ就職して1年目だったこともあり、苗字を使い分けるのも大変だし、と抵抗なく変更してしまいましたが、よく考えれば、変更後の姓と同じ苗字の同期がいたため、知らない間に憶測が飛び交ってしまうことに。。みなさんも、姓名変更をする時には、変な誤解を招かないように、身近に同じ苗字の人がいる場合は、事前に周囲に伝えておくことをお勧めします。
2. 住所の証明 (@イギリス)
次に直面した身分証明の壁は、住所の証明についてです。イギリスにて、公立図書館で働こうとした時(図書館勤務の体験談はこちらをご覧ください)、諸々の手続きが必要になったのですが、一番難関だったのは、住所の証明でした。
身分証明の一環としていくつか書類を提出する必要があったのですが、住所証明書類として求められたのが、住宅に関する契約書(賃貸・売買)、公共料金等の請求書、あるいは銀行や公的機関からのレター・文書、の3種類。夫が在学する大学の寮に住んでいたため、賃貸契約などは全て夫名義でなくてはならなかったことに加えて、自分名義の銀行口座も開いてはいなかったので、難航しました。大学が、当該住居の同居者であることを証明するレターを出してくれましたが、それが住所の証明書類として受け入れてもらえず、八方塞り…と思えたこの時の突破口は、ナショナルインシュランスナンバー(NIナンバー)の取得でした。
NIナンバーは納税その他の行政手続きに紐づくもので、イギリス在住で働くことのできるステイタスであれば申請することができます。イギリスで働く場合、NIナンバーと呼ばれる国民保険番号を雇用主に伝える必要があるため、並行して取得手続きを進めていました。
ただ、この取得が思ったよりも大変でした。なぜなら、まず電話で申請しなければならなかったにも拘わらず、いつかけても電話がつながらないのです。時期が悪いのか、何かおかしいのか…と困っていたところ、周りの人から「30分以上は待つ覚悟が必要」「朝一とかお昼休み直後とかがつながりやすい」等々の情報を得て、改めて電話をかけて待ち続けた結果、約1時間後にようやく電話がつながり、第2ステップであるインタビューのアポイントメントが取れました。インタビューでは簡単な質問に加えて本人確認がなされるため、身分証明としてここでも住所証明を出すように言われたらどうしよう、堂々巡りになってしまうのでは…と危惧したものの、ここからはスムーズに進み、約1か月後にはNIナンバーが郵送されてきました。こうして遂に、公的機関からの自分あてのレター、すなわち住所証明書類を入手することができました。
なお、去年からはNIナンバーはオンラインで申請できるようになったようです。「まずは電話で申請」を経験した身としては、これは画期的な変更で(もっと早くに変更できた気はするけど…)、多くの人々のストレスがこれで取り除かれたのではないかと思います!
3. 家族関係の証明(@香港)
冒頭説明した通り、子どももコロナのワクチン接種をしていないと様々な行動制約が出てくることになったため、香港政府のサイトからワクチン予約をしようと思ったところ、オンライン予約では、身分証明として香港IDカードか出生証明書の番号を入力する必要がありました(その他特殊ケースを除く)。
香港IDカードは、永住者でない場合、11歳以上が保持対象となるので、香港で生まれていない我が家の9歳児は該当する身分証がありません。このため予約ページに進むことができない、という壁にまず突き当たりました。
この時は、学校の保護者ネットワークを通じて「香港IDカードがなければ、郵便局でワクチン予約ができるらしい」との情報をもらい、パスポートを持参して郵便局に行きました。郵便局の窓口で、めでたく申請書類をもらうことができたのですが、予約を申請しようとすると今度は、ワクチン接種を希望する子どもとの関係(保護者であるかどうか)を証明する書類、すなわち出生証明書かStudent Handbookを提示するように言われました。そもそも出生証明書がないために郵便局に来ている上に、学校から配布されるらしいStudent Handbookも聞いたことがありません。ここで再び袋小路か…と窓口で窮していたところ、郵便局のスタッフが機転を利かせてくれて、「とりあえず予約だけはしてあげるけど、接種会場ではいずれにしろ資料の提示を求められるから準備しておくように」と柔軟に対応してくれたため、なんとか予約をとることができました。(後で香港出身者に聞いたところ、公立学校では各学校から児童一人一人にノート/手帳のようなものが配布され、連絡事項の伝達等に使われるものの、児童の保護者の氏名等が記載されたページがあり、そこに学校印が押印されているそうです。)
ワクチン接種会場での手続きに備えるべく、子供の通う学校に相談したところ、当該学校として対応可能な書類、すなわち在学証明書を出してもらえることができました。が、これが親子関係の証明書になるのか…と心許なかったため、日本から持ってきていた戸籍とその和訳も携えてワクチン接種に臨みました。当日、ワクチン接種会場の病院では、さくさくっと流れ作業のように手続きが流れ、子どものパスポートと保護者の接種同意書を確認しただけでした。有難くも拍子抜けするようなスムーズさでしたが、おそらく、予約の段階で必要書類は確認済み、という扱いだったのでしょうか。。
今回は、政府がワクチン接種を推奨していることもあってか、結局厳しい確認はされなかったものの、正攻法としては、在香港日本国領事館で出生証明書を発行してもらうという方法がありそうです。ただし、発行3カ月以内の戸籍を持っていない場合、本籍地から国際郵送で戸籍を取り寄せる、という手続きが必要になり、なかなか時間がかかりそうです。
おわりに
今回は、氏名、住所、家族関係といった身分証明の難しさについて、それぞれの場所で経験した話を紹介しました。
このような手続きでは、時々想定された方法で証明することができない場合、想定を超えた時間がかかってしまいがちです。
私の経験では、幸運にも、それぞれの手続きが進まず甚大な影響を受けた、という事態には至りませんでしたが、上記2点目の住所証明をはじめとする証明書類の取得のために2カ月ほど就業が遅れました。畠山がこのブログで触れているように、行政手続き漏れへの対応に要する時間が、就労ビザの期間、ひいては就職に影響してしまう場合もあるそうです。
そこで、上記ブログにも書かれているように、「こういうポイントを先に確認しておくべき」、「まずはこの手続きから始めるべき」、「電話がつながらなくても根気強く待つべし」…etc. といったコツが分かっていれば、少し突破しやすくなるのではないかと思います。ささやかながらこの記事も、何かの参考になれば幸いです!
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