【雑学】3Dプリンタって、結局何に使われるものなの?

「3Dプリンター」

耳にはするけど、あまり皆様の生活には馴染みのないものではないでしょうか。

YouTubeで情報発信をされる方が増えて、実際に3Dプリンタを購入されてレビューをする方も散見されるようになりました。

ですが3Dプリンタが実際にどのようなことに役に立っているのか?といった点に関してはなかなかイメージがつきにくいと思います。

そこで今回は私の実務経験から

「プラモデル開発の現場での3Dプリンタの役割とは何か」

という点から、少し掘り下げてみようと思います。


まず結論から書くと、プラモデルの開発工程における3Dプリンタの役割は

「試作」です。

これに尽きます。


昨今では「金属3Dプリンタで最終品を製造!」という話もユーザーレベルだけでなく、BMWやブガッディなどの海外の自動車メーカーや航空機メーカーでよく見られます。

ですが、金型による中規模~大規模な大量生産を前提とするプラモデルにおいては、3Dプリンタの出力品は「量産時の最終品」とするには、どれだけ小さい部品の生産においてもかなりのコスト高となってしまいます。


その為、3Dプリンタが担う役割は

「金型に入る前に、プロポーション・組立において、不具合が無いか?」

という、いわば監修・チェックの役割が非常に強く、「3Dプリンタ」という言葉が出てくる前でも、RP(Rapid Prototyping)や光造形(SLA)という方式で(かなり高価でしたが)10年程度前から続けられてきました。


チェックや監修にこういったコストをかける理由については

「金型は、基本的に一度加工してしまうと、再加工(彫り直し)が非常に難しく、かつ少なくない時間とコストがかかってしまう」

ことに起因します。

その為、RP機器による試作品が上がってきた際は、どんなに大雑把な人でもすごく神経質になるし、何より試作品が出てくるというのは

「初めて形になって出てくる」

ということで、いろんなところからいろんな人が見に来たりします。

「これはいいなぁ~」とか「ここがいいんだよなぁ~」とか、その瞬間はなんとなくみんな楽しそうで、一番楽しい工程でもあったりします。


昨今では、Formlabs社の「Form 2」から始まる、光造形機のエントリーモデルの普及により、この試作もかなり低コストで行えるようになり

「数百万~数千万する造形機を導入しなくても、ある程度の運用ノウハウを会得すれば、それなりの品質で試作ができるようになる。」

ということに対する、社内の衝撃が大きかったのを、今でもよく覚えています。

それだけ「試作」ということが重要な工程であり、コストがかけられるべき工程であるということは、「3Dより現物で見た方が早い」という現場の声からも証明できると思っています。

因みに、試作で作った造形品は、版権元への監修見本や、イベントの展示用の完成品にも使われたりします。

特にイベント前は手配が間に合わず、結構造形品で完成品を作るケースが多いです。(透明で出力すると、ガラスとかも結構できちゃうんです…)


そんな感じで、「試作」が3Dプリンタの目的でした!恐らくマスプロの製造業では同じような使われ方をされていると思います。


また機会があったら3Dプリンタについて、もう少し別の視点で書けたらと思っています。


それではまた明日~ おやすみなさいノシ

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