カメラテストのこと


カメラテスト。
これから先に出会う人たちの初めましてになるもの。
公開されたら、ずっと残っていくもの。
歴代の色んな人がやってきたもの。
(私にとっては)顔を初めて見られちゃうもの。
書類に〇をくれた審査員さんとか、会ってみたいと思ってくれた人が待っていてくれる場所。
私のこと見守ってくれてる人たちがきっと応援を飛ばしてくれてる場所。
とっても大事な場所。

どうしよう、大事すぎる。
こんなに私、抱えられるかな。
準備すること、たくさんたくさんあった。
準備をする私と、時間との、追いかけっこが始まった。

私はひとつひとつを進めていった。

お部屋で撮るから、切れてる電球を取り換えた。
写真を撮れるように部屋を掃除しておいた。
一分で話したいことをちょこちょこメモしていった。
一人で写真撮るのに必要そうなもの買ってみた。
zoomの登録を済ませた。
zoomのお試しに付き合ってほしいなって友達に連絡した。
ちょっと高いリップを買ってみた。
着る洋服を考えた。
質疑応答で聞かれそうなことを書き出してみた。
Twitterの更新も、今日はあれして、次はこれしてってちょこちょこ続けた。

それでも準備はまだ足りていなくて、でも、先に時間が私に追いついてきてしまっていた、もうカメラテストの当日だ。一番大事な自己PRの文章はまだ定まっていなかった。

私は、当日、その日までに書いたいくつかの文章を引っ張り出して、あれかなこれかなって、その日の自分に合わせてみた。でも、なんだかもう全部違うような気がして、全部、その日の私の形にはぴったり合わないような気がして。気持ちを乗せて話せないなら意味がないから、一から言葉を手作りすることにした。
うーんうーんって悩みながら言葉を組み合わせて、一分に入るかなって声に出して読んでみて、ちょっと削ったりして、どうにか一分に収まるのができた。本当にこの言葉でいいの?って自分に問いかけてみたら、わからないけど、時間がないからこれで行くって返答がきた。そんな理由で決まってしまったことがずっとずっと悲しい。今まで丁寧に言葉を重ねてやってきたのに。この大事な場面でこれですか?って思った。時間との追いかけっこに私は負けたのかな。自分のこと、嫌だなって思った。

なんでこんなことになってしまったんだろうと思って、その近日に自分がしていたことを振り返った。
エントリーナンバーと名前を書く紙を、マジックペンと筆ペンとどっちで書こうかなって迷ったり、人からもらった言葉印刷してお守り作るの楽しくなっちゃって夜更かししたり、提出する写真で、一ミリでもかわいいのはどれだろって悩んだりしていた。
分かっている、それよりも先に自己PRの文章を決める方が大事なんだよっていうのは。私は言葉だけを発信し続けて、書類を通してもらったのだから、写真に割いている時間があったなら、言葉を書いた方がいいことも、分かっている、はずなんだけどな。
どうしても全部大事にしたくなってしまって、それ自体は悪いことじゃないけど、時間に限りがあることをいつも忘れてしまう。気付いたら時間に追いつかれていて、どうしようもない自分自身とこんにちはってするはめになる。私はいつもそうだ。

小学校の国語の授業を思い出した。

みんなに漢字のドリルが配られて、ドリルを開くと、お手本の漢字が一番上にあって、その下の四角の中に、自分で漢字を書いて練習していく。
私はお手本の漢字をそのまま写したみたいに、きれいに字を書くのが好きだった。だから、一個一個とても丁寧に書いた。でも、それは時間がかかるから、私はいつも時間通りに終わらなくて、先生にもっと早く書きなさいと言われた。でも、私、きれいな漢字をどうしても書きたくて、そのままずっとゆっくりゆっくり書き続けた。
そしたら、みんなどんどん先の漢字に進んでいるのに私は全然進んでいなくて、先生が授業中にクラスメイトの工藤さんを教卓のところに呼んで、「工藤さんは文字がきれいだし、書くペースも良くて素晴らしいですね」ってお話をした。私はあなたも早く書きなさいと暗に言われている気がして、どうにか丁寧なまま早く書けないかなって考えながら頑張った。
でも、やっぱり遅くって、結果、すごく丁寧に書かれた漢字が詰まった、でも他の子より空白だらけの、私の漢字ドリルができあがった。

カメラテストが終わった後は、全然埋められていないあの漢字ドリルを提出した時と同じ気持ちになった。
一個一個きれいに書きたくて、自分のこうしたいの気持ちで進んでいたら、気づくと時間がなくなっていて、最後には中途半端なものができあがってしまった。こんなのを提出して、ごめんなさい、そんな気持ち。

ごめんなさいって気持ちにはなるけど、現実はただ私への評価がそれ相応につけられていくだけで、私の申し訳ない気持ちなんて、あってもなくても成績は変わらない。自分でやったことが自分に帰ってくるだけだから、それは別にいいんだ。私がこんな人間なのは事実だから。ただ結果を待つ。

だけど、自分のことだけではもう済ませられない部分がある。
私のこと見ていてくれたり、応援をくれた人たちが居てくれたから。その人たちのこと考えると心がぎゅってなる。結果的に中途半端な形にしてしまったことが、ふがいない。
応援をくれる人、見ていてくれる人、評価をくれてる審査員さん、その人たちの私への気持ちとか期待とかを踏んづけちゃったみたいな気持ちが消えないままここにある。私もうすでにみんなと関わってしまっていたから。
申し訳ないって思っちゃって謝りたくなるけど、ごめんねって言ったら、大丈夫だよって言わせてしまう気がするから、言いたくない。誰にも許されたくない、自分のことを許したくない。ごめんなさいって言いたくないくらいごめんなさいって思っている。言わないけど、ここに書いておくね。ずるいかな。

そんなこんなで、後悔がちゃんとある。それでも、私、カメラテストを受けた。確かに受けたんだ。だから、セミファイナルに進む可能性、ちゃんとある。カメラテストを受けた人、みんなにある。
だから、今はその可能性を抱きしめて、できることをやっていく。

カメラテストの日の嫌だなってなった自分のこと、後悔のことばかり、今日は書いてしまったけど、自分の良いところだって、ちゃんと出てはいたと思うんだ。気持ちだけは、込められたと思うんだ。
お気に入りの言葉は持っていけなかったし、カメラを全然見れなかった、言いたいことうまく言えなかった、それでもどんな言葉を尽くしたら人の心に触れられるのか分からないまま、もがいてもがいて必死に言葉を重ねる私の姿があの動画には残っているはずだから、大丈夫、嫌なところもたくさんあるけど、私はとっても素敵です。

もっと出来たでしょ?って思うところも、たくさん、たくさん、あるけれど、とりあえずゆっくり寝てねって自分に言ってあげれるくらいの頑張りはできたかなって思うから。

これが、私のカメラテストです。



ほんとは水曜日にこのnoteあげれるはずだったのに、今日はもう土曜日です。なんでよ~。私は毎日こんな感じです。それでも毎日生きています。
あなたは、漢字のドリルちゃんと埋められる人でしたか。


セミファイナルへ
  私、行くから。そこで待っていてね。


(なんか強気なこと書いちゃったどーしよがんばります)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?