芸人志望

私は高校生の頃に漫才を見に行った。

最初の方は大爆笑していたけど、途中から自分が舞台ではなく客席にいることに対してだんだんと悔しくなってきた。

なんで私はあっち側にいないんだ!とか

あんな輝いている舞台で私も活躍したい!など

心からそう思い、途中からは舞台で面白おかしく話している芸人を妬ましそうに見ていた。

漫才を見てこんな気持ちになるのはきっと私だけだ。

そう思ってから私は芸人を目指すことにした。

それからしばらくしてたまたまビートたけしの若かりし頃を描く浅草キッドを見た。そこでビートたけしの師匠が言っていた一言で私の人生はまた大きく変わった。

「芸人だったらいつでもボケろ。」






はーーーーーーーー!無理無理絶対ムリ!!!

普段は何にも考えたくない!ぼーっと生きていたい!家帰って何食べようとかどうでもいいことだけで頭いっぱいにしたい!!!

師匠の言葉で目が覚めた私は今日もだらしない笑顔で楽しく漫才を見る。もちろん客として。

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