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愛と恐れは同時に発動しない

人を愛していると、愛される。

この言葉を聞いて、恋愛に悩む女子は「こんなに好きなのに、愛されない」と眉をしかめるだろう。愛の一方通行感は全女子の心を抉ってくる。これほどまでか、というくらい傷つく。

だから「愛され女子になる」「追いかけられる恋」などの情報を自分に取り入れ、テクニックを模倣したり、相手の気持ちを推測して、いかに愛されようとするかを考える。

私はすべての女性が、自分自身、それから好きな男性を含む全方位から愛される人生を送って欲しいと心から願っている。

そこで、一つ伝えたいことがある。

愛と、恐れは共存同時に発動しない。

こんなに好きなのに、愛されない。と傷ついているとしたら、あなたは彼を好きすぎて、彼を恐れている。彼への気持ちを100%とすると、恐れているぶん、あなたは彼を愛せていない。愛せていないので、愛されない。この法則を念頭に置いていて欲しい。

彼を恐れている、というのは単純に彼が暴言を吐いてきて怖い。ということではない。具体的に言えば「彼に嫌われるのが怖い」「彼と結婚できないのが怖い」「愛されていないのが怖い」「昔のように愛してくれないのが怖い」「本当に私が好きなのか分からなくて怖い」「彼が他の女性に行ってしまいそうで怖い」このようなことが挙げられる。

恐れの厄介なところは「相手のことが見えなくなる」ことだ。これは恋愛だけに限った話ではなく、すべての人間関係に言える。恐れを抱かれると人は不安になり、恐れを返すようになる。そしてお互いに、以前のような温かい関係を築けなくなってしまう。例えば、安心していた時はなんとも思わなかった彼の行動が、恐れてくると色んな深読みをしてしまう。自分を愛してくれてない、という状況がとても怖いので、彼に対しても自分を安心させて欲しい、という態度をとり、愛してくれているのかを確認する言葉を使う。目の前の彼がどういう人なのか、怖くて分からなくなる。ただ単に、ぼーっとラーメンを食べているだけなのに「ラーメン デート 彼女に冷めた」などと検索したくなる。彼はただ単に、お腹が空いて、ラーメンを食べているだけ。それが恐怖で「あー彼女といてもつまらないな。冷めてきたな。彼女のリクエストに答えるのも飽きたな。こいつなんてラーメンでも連れてきゃいっか」に変換される。そしてラーメンの味もわからず、彼の顔色を見て接するので、彼も怖くなる。なんだかご飯食べてるだけなのに泣き出したり、はたまたやたら感謝の言葉を言ってきたり。様子がおかしい。ちっとも楽しそうじゃないのに楽しいと言ってきたり、大切にされていないと落ち込まれたりする。そうすると相手も、あなたが怖くなる。よくわからないので要求に答えても嬉しそうじゃないし、愛のある行動を自発的に行って欲しい。なんて言われる。愛したいけど、なんだかどうすればいいかわからない。本当に喜んでいるのか、本当に悲しんでいるのかわからない。そんなあなたに怖くなると、彼もまた怖い分あなたをまっすぐに愛せなくなる。

「怖い」を可視化すると小さくなる。先述の「彼の愛がわからなくて怖い」は、それを紐解いていくと「彼に愛されない自分は価値がなくなるので怖い」「気持ちが離れているのに、気づかず好きでいた惨めな自分になるのが怖い」「恋を終わらせてしまった不出来な自分を認めるのが怖い」と、自分の状態への恐ろしさが恐怖の正体であることに気づく。本当に怖いのは、彼や周りの人ではなく「自分が悲しい状態になる未来」だ。これをなんとかしようとすると、苦しくなる。与えるものは愛ではなく、恐れになる。なんとかしようとはしなくていい、ただ可視化をして欲しい。うまくいっていないのは、自分に価値がないのではなく「未来に対する恐れ」が原因なのだと知るだけで、世界は変わる。

恐れはさらに、自分に嘘をつかせる。もうとっくの昔に怖くて向き合えていないのに、こんな自分ではいずれ愛されないからと我慢をする。好きでもないのに大好きと言う。すごいと思っていないのにすごいと言う。逢うのが怖いのに逢いたいという。信じてないのに信じていると言う。これは、以前恐れから本音を相手にぶつけ、恋が壊れた経験を持っているからだ。恋を壊す自分を消そうとしている。恋を壊す自分に落胆し、自分が怖くなった。そう、最初に怖くなったのは自分自身に対してなのだ。ほっとくと恋を壊してしまう自分。そのままでいると惨めで不幸になる自分。愛されない自分。その自分を見るのが怖い。だから自分にもたくさんの嘘をつくし、責める。そんなことじゃまた愛されないよ、大丈夫、こんなの気にしちゃダメ。愛され女子はそんなことしないんだって。といった具合に。

愛される女子になる前に、自分の本音を自分だけでも認めて欲しい。それだけでも「自分自身が話を聞いてくれた」という安心につながる。自分の心は自由で、何を思ってもいい、感情や感じたこと、思ったことに間違いはない。すべてを受け止め、聞いてあげる。そうすると自分を恐れなくなった分、愛することができる。それからいろいろなセオリーを取り入れてほしい。なぜなら、上司を100%恐れている状態で「できる部下10の法則」を試してもうまくいかないように、相手を怖がっている分、その怖さを誤魔化すようにセオリーを試しても、すべては恐怖につながる。

それから、相手も怖いのだ。と知ることも大切だ。あなたが怖いように、相手も怖い。相手を怖がると、相手がメンタル強者に見えて、まるであなたからたくさんのものを搾取し、気まぐれに与えてやる、という覇者に見えるかもしれないが、全くそんなことはない。相手も悩みがあり、恐れがあり、コンプレックスもあれば強がりもある。あなたに嫌われる、否定されることが怖くてやはり自分に嘘をついたり、誤魔化したり、はたまたおかしな反省をしたり、見ないふりをしたり。相手も人間なのだ。覇者などではない。でも恐れは相手をどんどん覇者にしてしまう。「自分は相手を恐れていて、覇者にしているのだ」と可視化するだけで、歪んでいた現実を冷静に受け止める手助けになる。

好きが強いほど、相手に求めるものが多くなる。求めるものが多ければ多いほど怖くなる。あなたが相手を怖いのは、あなたが欲しいって思える相手だから。あなただって、欲しい人、誰でもいいわけじゃない。彼だから欲しい。彼だから欲しい、という気持ちが好きを膨らませてしまっているだけ。そこにはちゃんとあなたの愛がある。だから、その愛を彼に伝えるために、色んな勉強をしている。勉強をする前に、あなたがそんなにも欲しいと思う相手に出会えたことを誇りに思って欲しい。それから、そんなにも欲しいから怖くてうまく動けないということにも気付いて欲しい。それだけで、これからの勉強はうまくいく。

頑張れ、恋する乙女たち。

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