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つい5人目の男として

最近銭湯に行っている。温泉もいいけど
銭湯もいい。気軽に行けて疲れも取れる。
湯船にザブンと浸かっていると、目の前に
おじいさんがいた。ダイヤ系のピアスを
している。その隣には筋肉質のイケイケの
ニーサンが2人いてこっちも2人ともピアス
をしていた。その1番右端にはぽつんと
ふつうの人が頭をごしごし洗っている。

何だろなあ、この場面がめちゃくちゃいい。
ジムジャームッシュの映画のワンシーン
みたいで思わず写真を撮りたくなった、
けど、無理だ、なのでこうして書いている。

湯船に浸かりながら彼らを眺める。
おじいさんはそこそこいかついピアスを
しているけど、サマになっててとてもいい。
男ってたぶんいくつになってもカッコつけて
ナンボの生き物なんだろうなあと思う。

いや、オレはカッコなんかツけてけてねえよッ
とは言ってる人も、カッコはつけてない
という形でかっこをつけているものだ。
いや、べつにそれでいいと思うし、男の数だけ
カッコのつけ方があるのでしょう。それが
いい感じに颯爽としてたらなんだっていい。
とってつけたモンはぺろって剥がれるし
生きてきた中でほんとうにつかみ取れたモンは
そう簡単に剥がれ落ちることはない。たぶん。

オトコたちの背中をぼーっと見ているとなぜか
そのようなことをぼんやりと考えさせられる。うん、オトコの背中はいろいろと語ってくるんだよね。

その4人の男たちの背中を見ていると、僕も
つい5人目の男として1番左端に座りたくなった。何となく、映画っぽいなと思って。
もうすでにさっき身体は洗っていたので、
洗面用具やらを洗って整える。右を見ると
ピアスをしたおじいさんが身体を洗っている。

なんかそういうのって大事だよな、と妙に
腑に落ちるものがあった。いや、別に何か
言われたわけではない。ピアスをしようと
思ったわけでもない。何て言えばいいん
かな・・・。うまく言えないんですが、
そのピアスをしたおじいさんはいい
感じの空気感をただよわせていたのでした。

その感覚は最近少し忘れていた感覚だった。
そういう感覚は忘れてはダメな感覚なのだ。
たぶんそれを忘れてしまうと人間の精神は
少しづつほんとうに死へと向かっていくんだ
ろうなとふと思った。

✴︎

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