母にもタバコとお酒を手にしながらKingGnuを聴きたい日だってある
昔、自分の母親はずっと生まれた時からこういう人なんだなと思っていた。
夜寝なければ怒るし、ご飯は作ってくれるけど、いつだって正しいことしか言わない。間違ったことをいうとひどく怒るし、成績が下がるとクラスの男の子と仲良くしているからだとよくわからない理由で怒る。
私とは趣味の話をしない。大人のドラマを見ているとまだ早いと怒鳴ってくる。
つまらないし、うるさい人だと思っていた。
けれど、私が親になった今、わかることがある。
母だって、お酒を片手に酔っ払いたい日があったはずなのだ。
好きな音楽を聴いて、何もかも忘れたい日があったはずなのだ。
私の記憶している限りでは、そういう様子の母親の姿はなかったように思う。
私に見せないようにしていただけなのかもしれないとも思ったが、父の両親と同居していた母には自由はなく、毎日をなんとか生きていくのに必死だったのだと思う。
父とも仲が悪かったから、息抜きの方法も知らなかっただろう。
母親みたいな母親にはなりたくないと、ずっと思っていた。
もっと、人間らしい姿を見せてほしかった。
つらかったら息抜きをしてもいいし、自分の趣味を持ってもいいし、それを娘である私と共有したっていいはずだった。
母は、最後まで”娘”である私には、心を許してくれなかった。
結婚して自分のもとを離れてから、ようやく一人の人間として接してくれるようになった。
私は、自分の好きなものを娘に伝えていきたいと思う。
母である私の他に、一人の大人としての私をことを知ってほしいと思う。
私は、母となった。親である以上、責任をもって生きていかなければならない。
けれど、お酒は飲みたいし、タバコだって吸いたい。
タバコは結婚してから夫と話し合ってやめてしまったけれど。
子供が寝た後くらいは、お酒を飲みながらKingGnuやサカナクションを聴いて、”エモい”気持ちになっていいはずである。
だって、それが”私”だから。
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