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忘れられない、地球の表情を知った。

みんなでキャンプをしたんだ。

楽しく語らい合ったあと、そろそろ寝ようかなってくらいの時間。

みんなであったかい時間を過ごしたあと、1人、火の麓に残る。
火のメラメラ燃える様が好きで、ずっと見ていたかったから。

それに、「これ終わったらくるから待ってて。」って君に言われたから。

結局、案の定君は待っててもくることはなかったけれど、「待つこと」以外やることもなく、寝る気にもなれず、ひたすら火を眺め続けることにした。

「火が消えるまで見てるね。」

そう友だちに伝えてから、私の世界に映り込んできたものたち。

だんだん弱くなる火は、急な風が吹くとまた火力が強くなった。

鳥がぴぇー、なのか、びぇー、って泣きながら、右から左に飛んでいった。

北斗七星が見える。星がたくさん見える。

たまたま通りかかったおじさんと、長話をする。焚き火は自然の流れを良くするものだと教えてくれた。

月の位置が変わっている。

琵琶湖の、水の匂いがする。

火が消えてもまだ熱を持っている。

遠くで雷が光る。

車が通らなくなる。

雲が流れていく。

明け方4時ごろ、街明かりはないのに空が明るくなってくる。

徐々に寒くなってくる。

カイロがわりになりそうな、やわらかい熱を持っている木の枝をさがす。

風でわさわさいう袋の音が、足音みたいに聞こえる。

月の色が黄色から白になっている。

火が消えたと思っていたら、靴があったかいことに気づく。
足元の土を軽く掘り起こしたら、まだまだ火がついてた。メラメラし出した。

火って面白い。すごい。好き。

何度も吹き返す火に

「他人の限界を勝手に決めるな。」って言われた気がした。

ぷりゅぷりゅいいながら横切っていく車。

まだまだあたたかい焚き火。

木の中で火が燃えてる。

人工物を燃やした時の匂いは嫌。

まだ月が出ているのに、明るくなっていく空。

顔を上げると、「白」が飛び込んできた。

あぁ、朝だ。

午前4時半。

鳥がぴゅるりんって鳴き始めた。

火の「赤」の周りが、「黒」から「グレー」になった。

きゅりーろーって鳴きながら飛ぶ鳥もいる。

カラスはやっぱりくわぁー、か。

足音にしか聞こえない麻袋の正体が見えた。

周りの色が「白」からいろいろな色に変わっていった。

手が煤だらけなことに気づいた。

午前5時半。

見たことのある気がする、朝の景色だ。


結局あなたは来なかったけれど、

「待っていてよかった。」

これはただの強がりかもしれないけれど

でも、一瞬でもそう感じたことに変わりない。

来ないでくれて、ありがとう。

おかげさまで、

新しい世界と出会えた、

いや、

見過ごしてきた世界に気づくことができたよ。


この世界を、誰かと共有するのも楽しいかもしれないけれど、

一人だったからこそ、
自分の五感を研ぎ澄まして、
「聞きたい」と思ったものを聞けて、
「触りたい」と思ったものに触れられて、
風のご機嫌や火のご機嫌を感じ取ることができて、
「見たい」と思ったものを見れるんだよね。

素敵な、結果的野宿な一夜だった。

この光景や感じたことは

きっと忘れられないと思う。

きっとこんな文字の羅列じゃ伝わりきれないけれど、

私がどうしても覚えていたいから、

文字に起こしてみた。


「あぁ、早く誰か起きてこないかな。」

まだまだ未熟で無知な若者だけれど、そんな私でもできること、私にしかできないことがあると信じて前に進み続けます。よろしければ応援お願いします。