見出し画像

湖仔小吃部

その日、「さあ、台湾最後の日の夕食をどうしようかね」とぷらぷら歩いていたら目に入ってきたのがこの店だった。

画像10

画像11

鍋の中ではいい色合いで何かが煮えている。その前に並んだソーセージも美味しそうだ。他にも肉鬆、ザーサイ、塩卵、蚵仔煎…。
ただ、あとは明日の午後便で帰るだけという事もあり所持金を殆ど使い果たしていた私は、「お金は足りるだろうか」などとしょうもない事を考えて躊躇していた。
すると店主らしき大姐がやってきていきなり日本語で言った。

「粥?!ライス?!」

迫力のある(ように見えた)大姐の勢いに押されて「ラ…ライス、プリーズ」と答えつつ店内へ。
そうか、ここはお粥か普通のご飯か選べるのか。そういえば店先に並べてあるものは、殆どがお粥のトッピングだ。
そして店内には更にこれでもかというほど、美味しそうな惣菜が並んでいる。

画像5

画像4

だがしかし。
今度はこれらを勝手に皿に取ってテーブルへ持って行っていいのか、それとも注文して持ってきてもらうのか、あるいは指さして大姐に取ってもらうべきなのかがわからない。
さっきはお粥かライスか聞いてくれた大姐もそれ以外の日本語や英語はあまり話せないらしく、尋ねても中国語が返ってくるだけ。
再びおどおど状態になったところに、常連客らしき老紳士が近づいてきて「好きなものを好きなだけ取るビュッフェスタイルですよ」と日本語と英語で説明してくれた。

画像10

そして選んだのがこの3皿(と、入店時に頼んだ白ごはん)。
たったのこれだけ…?と大姐にも思われただろうけれど、仕方がない。お代が心配なのだ。
ところがこの惣菜がまた、たまらなく美味しい。もう2、3品選んじゃおうかな…という気持ちになりかけたが、懐具合の心細さがそれを阻む。

画像7

そうこうしていると、さきほど助けてくれた老紳士が会計をし始めたのでお礼を伝える。彼は「大した事はしていない。礼なんていらないよ。」と微笑みながら拱手をして去っていった。
それを見ながら大姐もニコニコ笑って何かこちらに話しかけている。最初は怖そうに見えたけど(ごめんなさい)、実際は朗らかで親切な人だった。

画像6

画像12

さて、会計。えらく安くて拍子抜け。
こんなことならもっとたくさんのお惣菜を食べたかった。本当に美味しかった。大姐にそう伝えたくて、
「美味しかったです!また必ず来ます。」
中国語に訳したiPhoneの画面を見せたら大姐は溢れんばかりの笑みと共に頷き、「またね」と手を振ってくれた。

毎日夜明けまで開いているらしいこの店。次は夜中に来るのもいいかもしれない。

2019.12.19 

湖仔小吃部
 台南市中西區民族路三段141號
 営業時間 月~日: 17:00 - 8:00
 上記はFacebookに記載されていた営業時間。
 看板では夕方17:30~翌朝5:30まで。


自分が好きなこと、好きな場所、好きなもののことだけを書いています。もし気に入っていただけたのであれば嬉しいです。