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【充電期間、その後現在の私】

ほぼ1年前、2021年の5月に【一年かけて芝居を再確認したいと思います】というタイトルでしばらくの充電期間宣言をいたしました。

舞台に立つようになって25年、ここらでちょっと時間をかけて「演じる」ことについてゆっくり再確認しながらもう少し深い気付きなんかを求めていきたいなぁと思っております。そのため、演技の勉強(ワークショップ等のクラス)を定期的に受けるスケジュールの関係で、まとまった期間を要する舞台のお仕事は1年ほどできなくなります。métroもしばしお休みです。映像のお仕事はスケジュールが調整しやすいのでこちらは継続します。演技のクラスを受けていない時もいろんな角度から、演じるということや感性を研ぎ澄ますことに集中したいと思います。

簡単な内容はこういうことですが、なぜそんな気持ちに至ったかは過去の記事をご覧ください。

さて、あれから一年、私はどう過ごしていていたか。変わらず応援してくださっている方や、なんとなくその動向を気にしてくださっている方に向けて、その後どんな状態だったか、少し途中報告をしておこうと思います。

宣言後、まずは前半半年の間にいくつか映像のお仕事はさせていただいたものの、舞台は全く出ないで、短期の(3ヶ月)ワークショップをいくつも受けておりました。メソッド演技法、マイズナーテクニックなどなど、世界の名優が学んでいるテクニックです。そこでは演技経験のない人から、舞台でよく見る俳優さんまで、様々な経歴な方が初心に戻って鍛錬されていました。初心者の方にはできないことが経験を積んだ俳優にできることは当たり前と言えば当たり前なのですが、その逆もたくさんありました。経験を積んだからこそ出来なくなっていくことも多い事に驚き悩みました。私は比較的経験の多い俳優さんと組ませてもらうことも多かったのですが、時に共に悩み、時に共に感動し、考えてみたら演技の基礎をちゃんと学ばなかったことへの反省や、定期的に自分のメンテナンスをすることの大切さを強く感じました。

宣言半年後、さてあと半年で果たして復帰すべきか否か悩みに悩んでいた私に思ってもいなかった事件が起こりました。長年所属していたマネージメント事務所の突然の解散です。事務所自体がなくなってしまったのです。もちろん次の事務所を探すべく手助けもしていただけたのですが、私はこれを期に事務所に当分所属せず、本格的に勉強を続けることを選択しました。(当時の記事はこちらです)

さてその後どうなったか。事務所の解散前から始まっていた10ヶ月コースのアカデミーでスタニスラフスキーシステム(すべての演技テクニックのもとになっている演技のテクニックや考え方)を学んだり(現在は無事卒業)、はたまた比較的現代的なチャバックテクニックなるものについて短期で学んでみたり。そして今年の春にはワークショップだけでは追いつけなかったメソッドとマイズナーに特化している二年制のアカデミーに入学しました。そこで2年間みっちり勉強をします。そこでは英語で演技するクラスも必須なので、もうてんてこ舞い。学校だけでは足りない私は個人的に素晴らしい先生について英語で演じることも学んでおります。

テクニック、テクニック、勉強、勉強と話していると、そのこと自体に疑問を抱く方もいらっしゃるかと思いますが、それは心で直感的に演技するためのテクニックであって、上手に演技することや演出家や監督の欲しい演劇をテクニカルに体現することではありません。その逆です。奇跡に身を放り投げるための訓練なのかも知れません。それらはちょっと数ヶ月数年学んだところ身につくものでもないし、日本にある演劇や前衛的なものすべてに使えたり当てはまるテクニックや考え方でもないとも思っています。でも俳優として場所を決めることなく生きて行くには世界のスタンダードを学んで自分の引き出しとしてカスタマイズして行くことが大切だと感じてます。実践でなかなか使えないテクニックもありますし、芸術的な考えもあれば芸術的というよりオーディション対策的な物もあります。でも今はそれら一つ一つを学ぶたびに大きな喜びがあります。なぜ演じることが私にとって幸せであり、こんなにも離れることができないのか、それを日々感じることができるのです。

学んでいる過程は、安らぎが得られます。できなくて悔しいことも勿論ありますが、それでも導いてくれる先生がいて自分が成長することに居心地の良さを感じます。でも、いずれそこから自立しなくてはいけません。最終的にはあらゆる演技法から独立して私は私の力で立たなくてはいけません。そうなるためにもまだもう少し勉強をして、そして実戦も交えながら、またいずれすべての学校から卒業しても自分の訓練を怠らず挑戦して行きたいと思っています。

今では舞台も映像もほぼ完全にお休みして学校を優先させていますが、来月良いタイミングでとても素敵なプロデュースからお声が掛かったので約1年半ぶりに舞台に立ちます。とても興味深い戯曲であり座組みであります。

チケットご希望の方はこちらからお申し込みいただけば「月船さらら扱い」になり私が把握できますのでよろしければこちらから。

また当日精算がご希望の方はこちらから私のメルマガ会員になっていただけると直接チケットを承ることも可能です。

「さららさん、成長したかな」なんて気持ちでいらっしゃるとがっかりさせそうなので(笑)どうぞ今までと変わらない私を見にいらしてください。そう、26年も役者をやっていると1mm成長させるだけでも大変な苦労でございます(笑)劇場でお会いできれば嬉しいですし、いらっしゃらない方もこの一年の報告をここまで読んでくださったことに心から感謝いたします。あと1〜2年、まだまだ本格的に俳優業メインの生活には戻れませんが、私のこんな人生も面白がって見守っていただけたら嬉しい限りです。どうぞこれからも月船さららをよろしくお願いいたします。


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