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【UWC体験記㉙】アメリカ大学出願について(SAT・エッセイ等)

私がUWCからアメリカの大学に出願するまでの過程をご紹介します。

海外の学校には大抵University Counselorという出願サポート専任の先生方がいて、このCounselorに全てのプロセスを助けてもらうことになります。


志望校選び

まずは志望校選びから。私はアメリカしか考えていなかったのですがそれでも大学の数は無数。日本でも知っているようなトップ校だけではなく、きちんと自分のレベルに合った大学を受けないといけないので大量のリサーチから始まります。

Counselorにも自分が何を専攻したいか、どんな規模の大学がいいか、奨学金はどれぐらい必要かなどの希望を伝えると、調べる大学のリストを作って渡してくれました。

私の場合、専攻はInternational Development(国際発展)を特に学びたい上で、ビジネスのコースも取りたかったのでこれはマストになるのですが、この2つを提供する大学、というだけだと多くの大学がありあまり違いが分からず絞れないのです。

そしてCounselorからはReach(チャレンジ校)を2校、Match(実力相応校)を5校、Safety(安全校)を3校選ぶようにと言われるのですが、私が事前に知っていたような大学はほとんどがReachに分類されるため、その他の学校の選び方がとても難しい。

そしてもう1つ考えなければいけないのは大きな総合大学か、小さなLiberal Artsと呼ばれる大学に出願するかということ。Liberal Artsは日本ではあまり知られていないのですが、一般教養や幅広い分野を学ぶことに力をいれ、少人数でディスカッションなどの授業が多くなっています。私の場合は大学レベルだとLiberal Artsにはビジネスのコースはほとんど無かったので総合大学メインに出願することにしました。

結局、夏前からリサーチは始めたものの何度も何度も出願校のリストを変え続け、最終的には12月の出願締め切り直前まで確定しませんでした。

SAT受験

コロナの影響で私の2年前から今まで受験必須だったSATが「テストオプショナル」と言い、点数を提出してもしなくてもよくなりました。ただ、多くの先輩たちが「プラスになってもマイナスにはならないから」と受験しており、私もやることにしました。

初めて受けたのは1年目(高2)の3月でなかなか忙しい時期だったので、1週間前から毎日フルの練習テストを解く、という対策のみでした。そして1600点満点中1490点。1500あれば終われると聞いていたのであと一歩なのですが何度でも受けられるSATをここで辞めるわけにはいきません。

その年の10月。UWC Dayを主催したわずか1週間後に再受験。また1週間毎日フルの練習テストを解く、という形式で対策したのですがこの頃も本当に忙しくて毎日夜11時ぐらいから始め、3時間のテストが終わり採点して寝るのは午前3時など。結局1470点とまさかの下がってしまいました。

これで終わりにしようとも思ったのですが、受験料無料で来年から始まるオンライン試験のトライアル参加があり、最後にダメ元で参加することにしました。特に問題は無かったのですが、結果はまたもや1490点でした。

正直合否にどれくらい影響があるのかは今も分かりませんが、大学の入学審査官の方々はみな口を揃えて、「本当に出さなくても一切原点はないけど、出して良い点数だったら加点」とおっしゃっていました。

私は1490点ということで、MatchやSafetyにはスコアを提出し、Reachの学校には出しませんでした。


推薦書依頼

ほとんどの大学への出願において授業担当の先生からの推薦書が2通必要になります。6科目で6人担当の先生方がいるのですが、人気のある先生には生徒が殺到したりし断られてしまうこともあるそうで、なるべく早くにお願いしに行きます。

その先生は私のその科目での取り組みしか知らないことにはなるのですが、この推薦書のポイントは「科目の出来」ではなく「生徒の人間性」であるため、私は一番自分のことを良く知ってもらえているだろう英語とフランス語の先生に頼みました。

推薦所は直接各大学に送られているので自分ではどんな内容を書いてもらったのかは見れないのですが、この2つの科目ではクラスの他の生徒と比べてもダントツで自主的にエッセイを書いて先生に添削してもらったり、授業での成長も大きかったのでそこを書いてもらえることを狙っていました(笑)。

他にも自分でcheat sheetといい、自分のアピールポイントや授業以外で取り組んだことなどを紙でまとめ、提出してその情報を加えてもらうこともできるので、それも利用しました。


TOEFL受験

海外の高校に通ってるから大丈夫かな?と勘違いしていた時期もあったのですが、ほとんどの大学で「母国語が英語でない」生徒は受験が必須になっているTOEFL。かなり前に受け終えていた友達もいましたが私は1年目が終わった夏休みで受験。

海外で暮らしているとTOEFLのようにスピーキングもリスニングも測ってくれる試験はとても簡単に感じられ運良く一発で114点が出ました。

UC出願

出願時期は大学によって多少の差はあるものほとんどが1月頭から中旬にかけてです。ただ、このRegular Decision(一般受験)だけでなく11月1日締め切りのEarly Decision(早期専願)やEarly Action(早期出願)で出願できる大学もあり、特にEarly Decisionは合格率が上がると言われています。

ただ受かったら必ず行くという条件のもとであるため、私は1つの学校に決められなかった上、1年目終わりの成績がそこまで良くなかったので今後成績が上がる見込みでEarly Decisionでは出願しませんでした。

なので私の最初の出願締め切りはUC(カリフォルニア大学)。これも少し例外でEarlyはできないものの11月30日というかなり早期締め切りの大学です。UCというと日本だとUCバークレーやUCLAが浮かぶと思うのですが、他にもいくつかあるUCは全て同じ書類で同時に出願することができます。

ここで初めて大学用のエッセイ執筆を行います。7つあるテーマの内4つ選び、それに関するエッセイを書き、課外活動も20個まで書くことができます。それに成績、推薦書、SAT(オプショナル)などが加わって合否審査される形です。

Common App記入

UC出願が終わり12月に入ってからは残りの8校の出願準備を始めます。Common Appというのが全ての出願書類を送るポータルのこと。

全ての大学に共通して基本情報や課外活動、受賞歴などの共通事項を一括して送ることができます。またCommon Appエッセイという1つのエッセイを共通で全ての大学に提出し、それに追加で大学ごとに課題エッセイを書きます。このCommon Appエッセイはほとんど夏休み中に完成させていました。

Common Appに載せられる課外活動は10個。過去4年間のもの限定になります。私は日本での最初の2年間はテニスと生徒会ぐらいしか無いものの、UWCに来てからの課外活動は十分なほどあります。それぞれについて短い規定文字数以内で自分の果たした役割やインパクト、学んだことなどを書きます。

エッセイ執筆

そしてアメリカ大学出願で一番時間がかかるのは各大学へのエッセイ執筆です。内容もエッセイの数も本当に大学それぞれで、短いものを5,6個書く大学もあれば長めを1本、という大学も。

内容は、オーソドックスなものだと一番力を入れた課外活動や「なぜ」その学校なのか、というもの、中には「感謝している人への手紙を書きましょう」というものもありました。

私は全部で13本書くことになり、冬休みのほぼ全てをこのエッセイ執筆に費やしました。自分について振り返ったり、大学のリサーチをする機会にもなり、楽しさもあるのですが、やはり締め切り期限が1日1日と迫ってくる中で相当のプレッシャーはあります。

そして先輩たちや日本のエッセイ指導の会社で添削をお願いしたりしながらかなりギリギリまで推敲を続けて、出願しました。

結果発表

日本の受験のように一発勝負のようなものはなく、エッセイとCommon Appを提出した時点であとは2カ月ほど結果を待つだけとなります。私はもう自分にできることが終わったら心配してもしょうがないとほぼ忘れた気でいたぐらいです。

ただ、発表時期が近付くと同級生はみなソワソワし始め、次第に合格報告なども耳にするようになります。そして1週間ほどの間にほぼ毎日私が出願した大学のどれかの発表が立て続けにありました。

結果は、、、正直理想からはほど遠いものでした。Reach校はもちろん、ここなら行けるだろうと自分でも周りにも言われた学校でも不合格もあり、正直毎回発表のサイトにアクセスするたび「もうこれ以上不合格は見たくない…!」と祈るような気持ちばかりでした。

最終的には合格も数校もらえ、ある程度上の方の大学もあったので満足して進学を決めましたが、やはり自分の期待通りとはいかなかった結果です。そしてWaitlistという補欠合格もより上の大学で出たのですが、結果的には私に順番は回ってきませんでした。


日本の受験システムとどちらが良いのか?

私はもう不合格通知を見たら即、「しょうがない」と思い無理やりにでもきっぱり忘れようと頑張っていたのですが、皮肉なことに少し励みになったのは、私の周りのものすごく優秀な同級生たちも驚くほどトップ校からは不合格ばかりだったこと。

日本の受験と違い、単純な学力だけではなく課外活動やエッセイなど、「総合的に」判断してもらえるのがアメリカの大学受験の魅力だと思っていましたが、逆に不合格だった時に「総合的に」という理由を付けられてしまい何が原因だったかが分からないのです。

私が最終的に提出したIBの予想点数も45点中43点と、普通の高校のカリキュラムより難しいと正式に認められているIBにしては良いはず。課外活動にもエッセイにも客観的に他の人に見てもらっても良かったはず。確かに全国トップレベルの受賞歴などは無いが、合格した人たちが全員それがある訳もない。では何が足りなかったのか。

私のような海外出身の生徒は学費の奨学金を申請する場合には合格率が落ちるため、それも一因ではあるのでしょうが、日本の受験のように「頑張れば受かる」ということが分からないともやもやした気持ちが残ってしまうのは事実です。

そして正直私が落ちた学校に受かっている同じ学校の同級生と自分を見比べてみても、私の方が成績は高く課外活動が充実していることもあり、本当に何で判断しているのかが分からなくなります。

逆にここで私が思ったのは、一部の受験生のように、もう何年も前からマンツーマンのカウンセラーを雇い、その人に課外活動も取る科目なども全てを指示してもらい完璧な出願書類を作る、というようなことをしなくて本当に良かった、ということ。勉強を頑張るだけでなくもはや自分の人間として全てを大学受験のために捧げていたら、このように「総合的に」判断して不合格、と曖昧な言われ方をしてもむなしすぎると思ったから。

もちろん、日本の受験生のように高校の最後の1年以上を勉強だけに費やす必要がなく、エッセイ以外にはあまり時間がかからないのは大きなメリットではあるし、私がここまでUWCでの生活でいろんなことができたのもそこに感謝するばかりです。

そしてUWCに来てから学んだ最も大きなことは、「どの学校に行くか」ではなく「そこで何をするか」によって自分の経験はいくらでも充実させることができるということ。その気持ちを大切に今年の秋から自分のご縁のあった場所で精進して行きたいと思います。


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