がっかりして歩いていたら金木犀の匂い

サキコはがっかりして歩いていた…

何故かといえば仕事で失敗をしてしまったからだ。

結構な失敗だった。

サキコのうっかりは時として炸裂してしまう。

わかっているのにできなかったこと。

わかっていたのにやれなかったこと。

それが悔しい。

しかし失敗してしまった事はもう過ぎてしまったことなので仕方ない。

そう思っても帰り道の足取りは重かった。

サキコがとぼとぼ歩いているとなんだかいい匂いがした。

一瞬ふわっといい匂いがした。

サキコは住宅街の塀の上を見た。

ふわっと香るオレンジ色の小さい花。

金木犀だ！

サキコの重い足取りは一気に軽くなる。

金木犀のオレンジが元気をくれる。

金木犀の匂いがひと時の安らぎをくれる。

今日はこれで良かったと。

次は失敗しないよと。

微笑みながら歩き出す。