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【イベントレポート】オンライントーク#1 GUEST:納谷真大(ELEVEN NINES)

5/17(日)20時に行われた、札幌シェアターのオンライントーク第一弾のイベントレポートをお送りします!ゲストは、札幌をメインに活動する劇団ELEVEN NINESの代表である、納谷真大さん。モデレーターは、鎌塚 慎平、佐久間 泉真です。

〇納谷さん、最近何してたんですか?

鎌塚:まず初めに「納谷さん、最近何してたんですか?」ということをお聞き出来たらと思います。

納谷:そうですね、2月は「カッコウ」(※「虹と雪、慟哭のカッコウ ~SAPPORO’72」)の公演をしてたんですが、途中で突然中止になって…。こんなことになるとは思ってなかったので、その時点では「うわー!すごい不幸な目にあった…!」と思ったんですが、事態はその後世の中に広く広がっていってね…。こればかりはしょうがないと割り切って、中止になった翌々日から、次の公演「屋根」の稽古のために、富良野に入ったんですね。ただ結果的にこれも中止になってしまって。そこからは…ずっとサウナに行っていました(笑)しかしサウナも、ここ最近は入れないので、もう、退屈です(笑)

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でも今日はね、山で山菜を取ってきて、天ぷらにして食べていましたよ。最近は、自然と戯れながら自粛をしていますね。散策の機会も増えて、改めて自然に触れることで、次の作品に向けて創作の準備もできているので…これは良い傾向でしょうね。今は、次の作品のために弓を弾いてる時期ですね。

佐久間:バネが縮んで弾ける前…といった感じでしょうか。

納谷:そんな感じですね。今回のテーマにも「オフェンシブな自粛」ってあったじゃないですか。今のように、新しいことを立ち上げることだけが「オフェンシブ」とは思っていないんですね。この事態が収束したときに、札幌の演劇界がジャンプするための準備期間だと思うんですよ。そういう意味で、今はいい意味での「オフェンシブな自粛」の期間だと思っています。

〇富良野のキツネ

鎌塚:最近、納谷さんの心が動いた出来事はありますか?

納谷:キツネ、がね…

鎌塚:キツネですか?

納谷:富良野でキツネを見ることは、そこまで不思議ではないんですよ。車で山沿いを走っていれば、こちらではよく見かけます。ただ、確実に、今までより身近に現れるようになったんですよね。うちの窓からでもキツネがいるのが見えたんですよ。アパートの共有の庭に、2回くらい現れて。自粛期間、人間が外に出なかったことで、富良野の町が、動物にとって住みやすくなっていることを実感しましたね。今後、いろんなシステムや様式が変わるかもしれないけど、我々はそれに適応しなければいけないなと、家の窓からキツネを見た時に、思ったんですよね。

〇若者への影響

佐久間:質問がきています。「今回の事態の共通体験を取り入れたような作は、何年後ぐらいにできると思いますか?」

納谷:間違いなく、今回の経験を取り入れたような演劇作品は出てくるでしょうね。僕は昨年『はじまりは、おわりで、はじまり』という作品を上演しまして、今年その第二段をやろうとしています。そこで、中学生や高校生の彼らが今回の事態を捉えているか?といった事を反映させた作品は作りたいと思ってるんですよね。

今回の騒動で、学生の演劇発表の場がなくなってしまいましたよね。僕も作品づくりのために何人か学生に取材したけど、やっぱりみんなの不安感は大きいですし、彼らの将来に与える影響も大きいでしょうね。元々演劇をやりたいと思っていた子も「公務員になります」と言うようになったりして…。創作の取材を始めてから、若者の不安を感じていますね。
今後、順調にいけば、夏前にはオーディションをして、中高生とお芝居したいと思っています。年齢を超えて一緒にやっていくこで、お互い成長できるのかなと思うので、ぜひ参加してほしいですね。

〇「レベルアップしたよね」と言われなければいけない

佐久間:コメントを更に読んでいきたいと思います。「あなた方、演劇人のことを忘れたことなど、一度たりともありません」「劇場で演劇見たいです、本当に。観るのを我慢してる分、期待値も高くなると思います。楽しみにしています。」

納谷:ありがとうございます。映像公開はしたのですが、やっぱりライブは作っていきたいんですね。演劇は死なないと思います。
ただ、実際に演劇好きな人でも、再開してすぐ見に来てくれるのは、25%位かなと予想してるんです。でも再開した時に、自分たちはどれだけ変化し、成長できているか?が重要だと思いますね。彼らに「レベルアップしたよね」と言われなければいけない。

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僕も残りあと10年20年で、いかに濃密なものを作れるかが勝負になると思っています。今回は、次の作品を最高のものにするための、準備期間を頂いた、と思っているので…期待してください。頑張ります。

佐久間:また一方で、「劇場内が大丈夫と思えるまで、自分は少しリハビリが必要だと思っています」というコメントもいただいています。

納谷:わかりますよ。僕のオカンもそうだと思う、まだ不安だと思います。劇場のコミュニケーション「みんなでこの空間を共有できるぜ」という良さが完全に仇になっていますもんね。

鎌塚:俳優もマスク着用した方がいい、という話があがっていましたね。でも、そういうルールを逆手に取るような、おもしろい作品は沢山生まれそうですよね。

納谷:制約をどうやってプラスにするか、考えていくべきなんでしょうね。今の状況で「いかに遊べるか」という所に、演劇の真髄があるのではないかと思います。次の作品を良くしなければというプレッシャーもありますが、1年後2年後にどんな作品が生まれているか、楽しみでもありますね。
札幌のすべてのカンパニーが、今は創作の準備期間にできればいいなと思っていて…次の時に「変わったよね、札幌」と言われていれば、最高ですね。

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鎌塚:「オフェンシブな自粛」というのは、最初にも話してらっしゃたように、「これからの準備の期間」ということですかね。

納谷:そうですね。各々の意欲を、創作に傾ける期間だと思いますね。次に何が出来るか。それぞれ向き合う期間という意味での「オフェンシブな自粛」だと思っています。

佐久間:これから、プラスの方向に変わっていくことも「オフェンシブな自粛」に繋がっていくんですね。それでは、本日のイベントもそろそろ終わりの時間になります。最後にコメントご紹介します「希望が少し見えてきた気がします。こういったお話が聞けて勇気が出ました。ありがとうございます。」

納谷:こちらこそ、ありがとうございます。今日は楽しかったです。またぜひ呼んでください。ありがとうございました!

鎌塚:またお待ちしてます!本日はありがとうございました!

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