つづきのない恋の《つづき》を書いてみた。
「続き、書かないの?」。ふと彼が言った。二週間ぶりの再会を果たした仄暗い部屋の中で。「書けないでしょ、もうすてきな物語じゃなくなっちゃったもん」と宙を見上げながらわたしは、朧げに答えた。
「つづきのない恋に、寄り道してみた。」を書いてから数日が経とうとしていた頃、わたしたちは新宿西口のルノワールで向かい合っていた。
これまでどんな人と付き合ってきたのか、なぜ別れたのか。久しぶりの互いの距離感に戸惑いながらわたしたちは、話を重ねた。彼がどんな人柄なのか、なにを重要視して生きているのかをより深く知れた。
「日曜しか休みがないし、この状態で誰かと付き合うのは難しい。」が彼のわたしと付き合えない理由だそうだ。本当に好きなら付き合えるだろうな、と思いながらわたしは腹の中で、この恋には本気にならないでおこうと決めた。
喫茶店を出た頃には、自然と腕を組んでいた。雨のせいだ。わたしたちは一本の傘の下で肩を寄せ合って、歩き始めた。
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