鬼は鬼。

「福島県の田村市で、江戸時代に作られたとされる、鬼の形相をした巨大な魔除けの神様の衣がえが行われました。」通勤する車の中で流れてきた朝のラジオ。一般的にいう衣替えとは1ヶ月も早いタイミング。え!鬼の神様も衣替えしたんだ。そう思って親近感が湧く。ちょうど同じ頃、我が家でも子どもたちの衣替えをしていたから。
 うちの子は、着る服のこだわりが強くて困る。
 小5になる上の子は、極力シンプルなデザインで、数少ない服を着回す。服で冒険しようなんてことは絶対考えない。ちょっと柄が入っていたり、ピンクなんかの明るい色は即NG。ご近所のお姉ちゃんから譲り受けた大量の古着の中から、お気に召したほんの1枚か2枚のヒットがあれば多い方だ。
 逆に年長さんの下の子は、どピンクのフリッフリのブリっブリが大好きで、誰に似たのか、肌を露出したがる。保育所に迎えに行った時何気なく先生に訪ねてみたら、「まだみんなズボンとかレギンスですよね」。そんな中で唯一スカートや短パンにハイソックスを合わせるという、独特のスタイルを確立し、しかも絶対譲らない。
 夏服への衣替え。下の子は、真夏か!と突っ込みたくなる服ばかりを選んで、もう入らないのに割り当てられた1段の引き出しにぐいぐい突っ込む。上は、相変わらずモノトーンで少数精鋭、スッカスカ。下はぐいぐい、上はスカスカ。二人の性格はこんなところに現れてくるものだ。「まだ寒い日があるかもしれないよ」、「せっかくもらった服なんだからこれも着てみたら?」二人の耳に母の声など届きやしない。だからほら、自然と眉間に皺がより、ホウレイセンもいつも以上にくっきり。こちらも鬼の形相だ。
 田村市のその魔除けの神様は無病息災の神様でもあるそうな。同じ無病息災なら、アマビエの方がいいな。コロナ退散!そして、好きな服を着て好きな場所に出かけられる日常が早く戻って来ることを祈りつつ、アマビエのひょうきんなかわいい顔を見習うことを、GW間近の晴れた午後の日差しにかたく誓う、私なのであった。

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