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「破片」

お気に入りの硝子のコップを
思い切り投げつけた
音がしたのだろう
割れる音が
粉々に割れる音が
けれど 残っていない
音は消えた
残ったのは
砕け散った破片だけで
砕け散った破片はあちこちに散らばり
思い思いの場所へと飛び散り
私の手から投げつけられた硝子のコップは
もうその姿に戻らない

―――詩集「対岸」より

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