ペーター佐藤さんのドローイング集
私の大好きな俳優 篠井英介さんと、エッセイスト関容子さんとのトークショーに行ってきました。場所はなんと、銀座は歌舞伎座の中にあるホールでした。
私は歌舞伎座がリニューアルしてから初めて行きましたが、ここに来ると伝統と格式を感じて背筋が少しピンと伸びますね。でも、時代に合わせていい感じにカジュアルになっていました。
さて
トークショーは関さんが会いたい人をお呼びしてお話を聞くというシリーズ企画で、今回が12回目とのこと。篠井さんも関さんも歌舞伎にお詳しく、私はおふたりのお話を楽しく興味深くお伺いしました。
私は歌舞伎に詳しくは無いですが、観るのは好きです。衣装も踊りも美しくて、観終わった後は「いいもの見たなぁ」と思うのです。
トークショーの最中、私と歌舞伎の出会いは何だったのだろう?と記憶を巻き戻してみると、そのきっかけはペーター佐藤さんのドローイング集でした。
ペーター佐藤さんは私が中学生の頃、それはそれは売れっ子のイラストレーターでした。街は彼の描いたイラストであふれていました。
ペーター佐藤さんの画集が欲しかったのですが中学生の私には高価で手が出ず、お小遣いをはたいて比較的安価なドローイング集を買いました。
ドローイング集の前半は彼の代名詞だったアメリカの人々のイラストでしたが、後半は歌舞伎役者や新派の女形や女優のイラストが。そして、私はその美しさに強く惹かれました。
特に、坂東玉三郎さんの全身像にはゾクゾクしました。頭のてっぺんから指先、つま先までのなんと言うか、「しなをつくる」「なまめかしい」とはこういう事かと。以来、女形の役者さんにずっと心惹かれています。
トークショーでは篠井さんも関さんも、玉三郎さんの話題になるとうっとりされていました。誰もが皆、魅了されてしまう存在ってすごい。
ペーターさんは他にも、このドローイング集で浮世絵の模写もしています。画業に明るくない私でも、ものすごい練習量だったことが窺えます。
突然早世してしまったペーターさん。同じく人気イラストレーターである原田治さんは、ブログでペーターさんのオーバーワークのお話をされていました。
もしペーターさんが今もご存命だったら、どの役者さんを描かれていたことでしょうか。私はその早すぎる死が、残念で仕方ないのでした。
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