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約束の記憶 第二章 10話

小説です。

ここまでのお話はマガジンからどうぞ↓
https://note.com/saorin11/m/me6fc5f2a8b10

「どうやら、うまくいったようね」

画面の中の夕陽を眩しそうに眺めながら、中島室長がつぶやいた。

「あっあのう室長、これはどういうことでしょうか?」

今見た光景がどういうことなのか。
小坂は自分にもありえるかもしれないと思うと、聞かずにいられなかった。

「小坂リーダー、今見たことは他言無用。実験とでも思って、すぐ忘れ‥」

室長が最後に何て言ったのか聞こえず、意識がなくなった。

仕事中に寝落ちするほど、睡眠足りてなかったのかな。

目を開けて室内を見渡すと、誰もいなかった。

「室長いつのまにいなくなったんだろ」

時間を見てもたった数秒しか経っていないのに。
さっき入れたばかりのコーヒーがなぜか冷たかった。

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「今騒ぎになると困るのはお互い様だろ、岡山」

「もちろんです、有沢さん」

有沢は人口を維持する「みらい省」のトップであり、AI搭載の政治家でもある。

生身の体だが、脳内にAIが搭載されていて、寝ている間に必要な情報をアップデートすることができる。
55歳らしいが、見た目は40歳そこそこにしかみえない。
内臓もAIでサイボーク化されているとか、すでに100歳を超えてるとか本当か嘘かわからない噂が絶えない。

「やはり森田一葉か」

「いえ、それを決めるのは時期尚早かと」

「いずれにしろ、一葉ともみじ。あと中島。マークを怠るな」

「はい」

有沢には直接会ったことがない。
シリウス人同士ならテレパシーが使える。
有沢は地球人だが、彼のAIと接続して通話ができる。
便利だが常に捕まえられるのが鬱陶しい。

昔あった携帯電話は電波が届かないところがあったが、テレパシーは届かないところがない。

世間には少子化対策、自殺防止と訴えているが、2049年を最後に人類が誕生しないことが決まっているのが真実である。
それを知っているのは、地球では日本のトップだけで、あとは関係する星の一部だけである。

優れたDNAを増やし、生きている人間を再生し、寿命を伸ばし、AI化を進めていく。
この百年で、様々な実験が繰り返され、自殺ができないシステムは完成した。

現在は再生プログラムとAI化を進めている。

「これからが正念場だな。当たりはどいつだ」

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学はにやりと笑って歩き始めた。

つづく
(次回は4/27にUPします)

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